公営企業の累損4兆5千億円

 水道、下水道や交通、病院事業など地域住民の生活や地域の発展に不可欠なサービスを提供している地方公営企業の99年度決算をみると、全国1万1,712事業のうち12.5%が赤字となるなど、全体として引き続き厳しい経営状況にあることが分かります。

 繰越利益剰余金や利益積立金などでも補てんがしきれず赤字として積もり重なった累積欠損金の総額は4 兆5,094 億円で前年度末に比べて7.7 %増加しています。累積欠損金を有する事業の占める割合が大きい事業をみると、投下資本を長期間にかけて料金回収する地下鉄事業などの交通事業が49 事業で2 兆3,429 億円に上り、累積欠損金全体のほぼ半数(52.0 %)を占めています。次いで病院事業が540 事業で1 兆2,435 億円に上り、へき地医療や救急医療など採算性の厳しさが表れています。

 前年度より累積欠損金の額が増加した事業では、交通事業の1,668 億円(対前年度比7.7 %)、病院事業の1,006 億円(同8.8 %増)のほか、販売、分譲が低迷している宅地造成事業(243 億円、4.9 %増)が目に付きます。

 累積欠損金が直ちに事業全体の資金不足につながるものではありませんが、これらの事業では、収益性の向上と、経常費用の合理化などで経営の健全化を図ることが求められています。