公開討論会
選挙の立候補者が一堂に会して政見を発表する立会演説会は、1983年の公職選挙法改正によって姿を消しました。聴衆の大量動員などが常態化し、本来の目的が達せられないという判断からで、現在では街頭での演説のほか、テレビの政見放送や候補者が自主的に開催する懇談会など限られた発表の場があるだけ。 そうした中、候補者の意見を聴き比べる場にもなる公開討論は民主主義の原点だ、とする考えから全国的な市民運動組織の地球市民会議などが、96年の京都市長選挙で合同演説会「リンカーン・フォーラム」を開催したのを機に、市民団体や住民有志の主催による公開討論会が全国に広まっていきました。 ことし7月の総選挙では全国的に開催されたほか、最近では町村長選など地方選挙でも目立ってきています。公開討論会の成果としては、候補者の人柄ばかりでなく政策や考え方がこれまで以上に公開され、政策に対する有権者の関心が高まってきたことや、投票率の向上などが挙げられています。しかし、立候補者同士が「談合」して開催を避けたり、主催者の中立性に疑問が持たれるような動きも一部に見られるそうです。 地方分権が進むに連れて、これまで以上に首長らのリーダーシップや住民の自主性、政策論議が重要になってくるため、地方選挙での討論会は公正中立を原点にしながら、有効に活用されることが求められています。また、首長や議員候補者は、明確なビジョンと政策を持って、きちんと有権者・住民とコミュニケーションできる能力が必要になるでしょう。 |
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