CATVと地域情報

 有線放送の一つケーブルテレビジョン(CATV)は、米国ではテレビ放送に広く活用されています。日本では普及がやや遅れていましたが、光ケーブルの導入によってより大きな伝送容量が確保できることから、多チャンネルのメリットを生かした都市型のCATVが脚光を浴びています。

 地方の自治体では、既存のCATVネットワークを活用して行政情報を流したり、テレビ会議方式による遠隔授業や医療相談などの公共サービスの向上を目指す動きが目立ってきました。インターネットを高速で常時接続することも可能なことから、インターネットを通じた行政と住民の間の双方向の情報交換や、自治体の自主制作によるテレビ番組・ニュースを流す試みも検討されています。

 CATVは地域情報のセットワークづくりには大きな可能性を持っていますが、難点は施設整備に大きな資金が必要なことです。このため、最近では近隣の複数自治体が協力し合う広域CATVの動きも見られます。

 電気通信審議会はこのほど、郵政省に対して全国のCATVを2010年までにデジタル化することが望ましいとの答申を出しました。設備投資の資金問題はありますが、デジタル化によってチャンネル数が現在の3〜10倍に増えることが見込まれ、官民の連携による有効利用が求められています。

 【主な先進事例】
 ●大分県臼杵市 CATV放送とインターネット用のインフラ整備へ。2001年本放送開始。郵政省補助事業。
 ●岡山県久世町 郵政省の地域マルチメディアハイウェイ・モデル事業として高速インターネットの利用環境を整備。
 ●福井県小浜市など5市町村 自主放送番組の充実や運営費の削減、若狭地域の一体化などを目的に、広域運営を目指す。
 ●静岡県浜岡町 一般テレビ放送や行政・医療・原子力情報サービス、インターネット接続サービスなどを提供する計画。CATV端末は町民に無償貸与。
 ●山形県米沢市 CATVを利用した「地域イントラネット」を構築、マルチメディア学校間交流システム、遠隔医療相談システムなどの運用を目指す。