市町村合併最前線

 1. 予備軍49地域、特例措置で加速

 市町村合併をめぐる動きが活発化している。特に、政府が財政優遇措置を打ち出してからこの1年間に、合併協議会の設置数は倍増となりました。地域メディア研究所の集計では、近隣市町村の首長や議員が合併に向けた研究を進めたり、任意の協議会を設けるなど具体的な検討作業に入っているものを含めると、「合併予備軍」は全国で49地域、約230市町村に上っています。

 合併特例法に基づく法定合併協議会を設置しているのは9月20日現在で21地域、69市町村(設置予定1地域含む)。99年以降に設置された14地域のうち6地域については、関係市町村の合意が成立し、合併期日も確定しています。21世紀の幕開けと同時に、西東京市(東京都保谷、田無市)、さいたま市(埼玉県浦和、大宮、与野市)など新都市が相次いで誕生する予定です(一覧表参照)。

 法定の協議会設置には至らないものの、近隣首長や議員同士が懇談や調査研究の場を持ったり、住民発議の署名運動を進めるなど合併について具体的な動きを見せている自治体は、28地域、約160市町村あります。合併準備経費などの財政支援や、市昇格の人口要件を4万人(本来は5万人)に緩和する特例措置が、2005年3月までの合併に限定して対象にしていることが、ここにきて合併論議を活発化させる要因にもなっているようです。

 ■北海道など19道府県が空白区

 しかし、次ページのマップにあるように、北海道はじめ19道府県は合併論議の「空白区」で、地域間のばらつきが目立っています。住民性や地域特性が影響していると考えられますが、10億円を上限にした合併特別交付金を創設した徳島県など、県が積極的に合併推進に動いている地域で活発化している傾向がうかがえます。

 上の表はこの1年間に自治体や住民団体が行った合併に関するアンケート調査の概要です。住民が対象の調査では、全体として合併に積極的な姿勢が読み取れ、特に具体的な合併論が持ち上がっている各市の調査では「不要論」が7〜12%の低率にとどまっています。首長・議員を対象にした調査では、97年の調査に比べて、積極論が拡大していることがうかがえます。