市町村合併を考える3-2 |
2000/11/17 |
「寄り合い所帯」意思統一に難下の表は広域連合の事業項目の例です。全国68の広域連合のほぼ3分の2が介護保険制度に対応して介護認定や介護関連施設の運営管理を目的に結成されています。しかし、中には函館圏公立大学広域連合など公立大学や病院の設置運営を目指したものや、埼玉県内全92市町村が参加して職員の人材開発、交流に絞った彩の国さいたま人づくり広域連合といったものもあります。 ■低い住民の関心・帰属意識こうしてみると、広域連合は公共サービスの内容に応じて単一の自治体と機能分担する合理的な制度ともいえますが、現状では一部事務組合の延長線にあるごみ、消防、斎場や新たに制度化された介護関連の事業が中心です。広域連合が本来の狙いとした、地方分権の推進力となるような成果はまだ上がっていません。上伊那のように住民の関心が低く、市町村住民であると同時に「連合国」の国民としての帰属意識が育っていないことも背景にあると考えられます。 広域連合がなかなか本来の威力を発揮できないもう一つの大きな要因は、介護やごみ処理など単一目的の連合ではなく、より多分野での広域化を目指すほど、参加市町村との調整が複雑化して結論がなかなかまとまらず、結果的に「連合国」のきずなよりも「寄り合い所帯」のまとまりの悪さが表に出やすいことです。 南信州広域連合では、広域連合が設置運営する特別養護老人ホームの民間委託を決めたものの、市町村が広域連合に派遣している特養職員の身分をどうするか、既に各自治体が設置している9つの特養施設の民営化をどうするか、といった難題に直面しました。広域連合の議会に決定権はありますが、それぞれの自治体の考えには微妙な違いがあり、単一の自治体のようにリーダーの「政治判断」で動くという構造にもなっていません。 広域連合の事業例 ●南信州広域連合(18市町村) ●岩手県・気仙広域連合(4市町) ●徳島中央広域連合(8町村)
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