北海道移民の歴史は、12世紀に源頼朝の追討を逃れて蝦夷地に渡った「渡党(わたりとう)」に始まり、昭和20年代の戦後開拓までつながる。その800年に及ぶ移民史を7つの時代区分に基づいて、丹念にまとめ上げている。詳細なデータも掲載されており、移民史の全体像を理解する上でバイブル的な書とも言える。
読み進むうちに、その時々の時代背景や為政者側の都合、古里を後にしなければならなかった庶民の側の事情が、浮かび上がってくる。移民の具体例に踏み込んだトピックスには、大なり小なりの希望を抱いて新天地を目指した開拓者たちの思いが滲む。移民・開拓は挫折と背中合わせでもあるが、彼らの労苦が北海道の歴史の基層を成していることを改めて感じさせられた。
【北海道移民史を知る!】
北国諒星著、北海道出版企画センター刊、1700円+税。
【抜粋】
郷里を同じくする者が団結して移住し、助け合い励まし合って事業に従事することは、開拓を進める上で必要だった。こうした開拓を志す人たちを便宜上「団結移住者」と呼んでいる。成績の良否は、団員たちの気風、率先者の指導力などによって分かれることになる。団員に共同心がなく、率先者に人を得なければ、むしろ単独移住者に劣ることになるだろう。