行政評価・入門編 8.政策目標からアウトカムを読む 例では、広報紙の発行事業が、「開かれた行政の実現」という政策の一項目として位置付けられています。出前講座や情報公開条例の制定などの施策と並んで、「開かれた行政」を具体化し、ひいては「町民が主役のマチ」というビジョンの実現を目指す構造になっています。 広報紙発行事業は、行政活動の「ピラミッド」の底辺の一部に当たるわけですが、実際にはそこに役場職員らの人材と予算、それに必要な設備や機材を投入することから事業が動き出します。さまざまな行政情報や地域の動きなどを収集し、編集、制作の過程を経て広報紙が出来上がります。広報紙は町内会組織などを使って住民の手元に届く仕組みなっています。 こうした一連の行政活動を評価する場合、従来から一般に利用されているのが、広報紙発行事業に「どれだけ人材や予算を投入したか」という「インプット(入力)」に関するデータです。町村役場では広報紙発行だけを専門に行う職員は置いていないのが普通ですから、人材の投入量を数字化するのは少し難しい面もありますが、予算額などはかなり目に見えやすい形でとらえることができます。 また、予算や人材を投入した結果として出来上がった広報紙そのものについては、年間で何回発行したのか、発行部数、ページ数はどのくらいか、あるいは1部当たりのコストなども比較的分かりやすい形で把握できます。これらの「アウトプット(出力)」についてのデータも一定の評価を下す材料となります。 「インプット」「アウトプット」についてのデータは、確かにどんな行政活動が行われたかを把握する上で一定の目安にはなりますが、広報紙は発行することが目的ではなくて、「開かれた行政」という政策目標を実現するための手段であったはずです。行政活動を分かりやすく住民に公開し、住民参加を促すことで住民主体のコミュニティ活動を活発化させ、「町民が主役のマチ」づくりを目指す〜という視点で広報紙発行事業を評価することが重要なはずです。 そう考えると、広報紙発行にいくら予算を投じたかとか、どんな分厚いものを作ったかということ以上に、まずきちんと住民の手元に届いているのか、読んでもらっているのか、必要な情報が盛り込まれているのか、さらには住民生活にどの程度活用されているのか、といった「アウトカム(成果)」の点検の重要性が浮かび上がってきます。 |
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