行政評価・入門編

 7.行政活動の枠組み見直し、体系化する

 行政評価を導入するに当たっては、まずどんな目的で行政評価を活用するのかが問題です。目的によって、評価の手法や指標の選定、評価主体、評価の時期など違ってくるからです。

 表は目的別におおまかに分類したものですが、最下段の「アリバイ形成型」は本来の行政評価とはいえません。往々にして行財政改革のポーズにとどまり、周囲にあおられて横並び指向から着手する傾向も否定できません。そうした意識がなくとも、行政評価自体が目的化され、実効性を上げていないケースもあります。

 住民満足度の向上に最重点を置いて、情報を公開しながら住民の参加を得てまちづくりを効果的に進める「成果向上型」の行政評価の活用が望まれますが、地道に職員の意識改革を促したり、情報公開を徹底していくといった目的に沿った行政評価も大きな意義があります。

 現在、多く見られるのは、財政難を背景にして事業のスクラップアンドビルドや予算削減を進める目的で、行政評価(事業評価)の手法を活用する取り組みです。自治体を取り巻く財政環境からすると現実的な対応であり、入りやすく・分かりやすい面はありますが、より積極的な行政の展開、まちづくりを進めるためのステップアップを期待したいところです。

 ここでは「成果向上型」の行政評価の導入について考えていきます。
 まず第一に重要な点は、行政活動がきちんと体系づけられていることです。「行政の体系化」とは、一定のコンセンサスを得た政策に基づいて、その政策を実現するための方法や手段が効率よく組み立てられていることを指します。行政評価を導入するかどうかにかかわらず、本来きちんと体系化され、それに応じた組織体制と予算や施設が確保されていなければならないはずのものです。

 ところが、現実には縦割り行政の影響もあって施策・事業が重複していたり、政策実現の目的があいまいな事務事業もい見られ、このため人や予算の張り付けに無駄が生じているケースもあります。

 そうした点から見ると、行政評価の導入は、行政の基本的な枠組みや人材の配置・活用法など総合的に見直すことがスタートともいえます。ピラミッド型の図は、行政活動をまちの未来像を示す「ビジョン」、ビジョンを実現するための方針「政策」、政策実現のための方法・手段の「施策」、そして施策を遂行するための日常的な「事務事業・業務」という4つのレベルから構成されていることを表しています。