行政評価・入門編 6. プロセス段階から住民参加を仕掛ける 第一の問題点は、成果主義という基本的な考え方が不徹底で、導入目的があいまいなことが挙げられます。これは厳しい財政をどうやりくりするかという問題がきっかけになったことも要因ですが、行政評価が結果的に予算削減やコストカット、人員削減・リストラの理由付けにされる傾向にあることです。積極的な「選択」ではなく消極的な「切り捨て」に問題がありそうです。 また、財政健全化など行政改革のアリバイづくり的な、形ばかりの行政評価と思えるようなケースもあるのは残念なことです。 第三の問題は、情報の公開が徹底されておらず、結果的に住民参加のシステムづくりにまで至っていないことが挙げられます。自治省の調査でも、評価結果をすべて公表することにしている自治体は、都道府県で五〇%、指定都市で六七%、市区町村ではわずか一七%にとどまっています。比較的積極姿勢の都道府県でも、まったく公表しない自治体が三一%もあるのです。 行政評価の成否は住民参画を得られるかどうかが重要な要素ですから、本来は制度の検討、導入段階から住民を巻き込んだ取り組みが必要なはずです。総じて情報公開に消極的な治体が多い中で、東京都は住民満足度を重視する観点からベンチマークの選定に当たって、二百五十人の都政モニターのアンケート調査を行い、九十九個の指標に絞り込みました。プロセス段階から住民参画を積極的に仕掛ける試みは注目される取り組みです。 道内では札幌市がいち早く行政評価の導入を進め、「市民と行政のパートナーシップ」を前面に打ち出しています。プロセス段階では都市経営フォーラムの意見を聴取し、実施段階でも評価結果を外部委員会に報告し、意見を求めるシステムを考えています。 しかし、評価そのものは庁内の内部評価にとどまっており、事後的に「外部」の意見をうかがうレベルにとどまっています。内部評価をきちんと行うのは当然ですが、第三者的な立場からの評価と比較対照させながら評価の客観性を高める工夫も求めたいところです。 |
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