三セク経営と情報公開〜過去最高の三セク倒産 |
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2002/07/25 |
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1. 「破産予備軍」が潜在化してないか2001年度中に倒産に追い込まれた第三セクターは、全国で22件に達し、過去最悪となりました。過剰債務を抱えた潜在的な「破綻予備軍」もあり、三セク経営をめぐる自治体の自己決定の責任も重大さを増しています。 ■債務超過37%、超過懸念15%総務省が2001年12月にまとめた三セク調査によると、2000年末時点の法人数は6834団体で、出資・出えん総額は約2兆7千億円にも上っています。法人数は、バブル経済破綻後の減少傾向が続き、単年度決算では赤字法人の割合が35%となるなど経営内容もわずかながら改善されつつあるようにも見えます。 しかし、民間の調査機関・帝国データバンクが財務内容の判明している1524社を調査したところ、「安定経営」と見られる三セクは全体の47.4%にとどまりました。これに対し「債務超過」は37.3%、「債務超過懸念」は15.2%で、半数以上が経営不安を抱えていることがうかがえます。 業種別では、レジャー・リゾート、鉄道・運輸、製造業で「債務超過」がそれぞれ20%前後に達しています。「債務超過懸念」を加えると、ケーブルテレビなどの放送業(73.6%)の経営不安が目に付きます。 ■「危険信号」3つの目安最近の三セク倒産を見ると、「危ない三セク」には次のような傾向がうかがえます。 (1)リゾート法の施行からバブル期にかけて設立された さらに、明確な解決策を見出せないまま「延命措置」でしのいできたことが、結果的に自治体財政にまで影響を及ぼすケースさえ見られます。このことからも、三セク経営に対する厳格な評価と情報の開示が、大きな課題となっています。 2. 求められる住民への十分な説明第三セクターを業務分野別で見ると、観光・レジャーが全体の17.9%を占めて最多。これに農林水産(17.5%)、教育・文化(16.2%)、福祉・医療(8.5%)、商工(8.3%)、地域・都市開発(7.7%)が続いています。 ■「公益性」「公民協調」に盲点全体として地域の活性化を目的として設立され、公共サービスに準じたサービスを提供する「行政補完型」が主流となっています。また、近年は地域振興の視点から、民間主体の事業に自治体が出資する「公民協調型」の三セクも少なくありません。 経営上の弱点・盲点を挙げれば、「行政補完型」の場合は、採算性よりも公益性が重視され、増資や補助金交付など公的支援が安易に行われやすい傾向があります。「公民協調型」の場合は、補完型に比べて経営内容の透明性が低く、行政側のチェック機能が働きにくくなる傾向が見られます。 また、いずれの場合でも、本来協働すべきところが、行政と民間の「もたれ合い」になりがちな点も、大きな落とし穴といえます。 ■バランスシートだけでも「積極的」?三セク経営に関する情報の開示は、民間任せの末の破綻から住民が大きな借金を背負い込むケースなどをきっかけに、自治体内での見直しが進んでいます。総務省のデータでは、上のグラフにあるように、市町村出資の法人で「積極的に公開している」のは91%にも上っています。 しかし、ここで「積極的」とされているのは、「財務諸表を広報誌に掲載するなど開示請求に依ることなく情報を公開している」ケースが対象。住民に対する「十分な説明と理解を得る」という点からは、必ずしも十分とはいえないようです。現に、バランスシートを提示するだけの例も散見され、問題点や課題がどこにあるかも含めて分かりやすい情報提供を心がけているのは、ごく少数に限られています。 これらの情報提供について、条例や要綱で定めた市町村出資の法人は全体の約27%にとどまっています。 3. 定期的に点検評価、明快に説明第三セクターの情報開示については、商法・民法上の義務のほか、市町村などの出資比率が50%以上の場合、地方自治法によって議会への報告義務が課せられています。 こうした法令上の義務は当然として、行政補完や公民協調という事業の性質からしても、議会のみならず、住民への説明責任が不可欠といえます。特に、地方財政の健全化と住民参加の推進という観点から、経営・事業内容の透明性を高め、公的関与の在り方についての論議を深めることが、今日的な課題となっています。 ■需要予測、経営悪化の原因を検証情報開示の考え方としては、三セク自身の手によるほか、出資者である市町村なども、経営内容と合わせて事業の必要性や出資の意義、目的の達成状況、公的支援の内容と考え方、今後の事業計画と財務見通しについて、より積極的に情報提供していくことが求められます。特に、経営の悪化が懸念される事態にあっては、原因分析や改善計画についての詳細な情報開示と監査体制の強化がタイミングを失することなく進められなければなりません。 また、2000年に設立された三セクは171法人に上りましたが、構想段階での情報公開と合わせてパブリックコメントなどの手法を使い政策立案に積極的に住民参加を図ることも求められます。経営の行き詰まりが需要予測の見込み違いに起因するケースも多いことから、こうした基礎データの検証も、情報開示が起点となります。 三セク情報の開示に当たっては、経営状況を把握するための「ものさし」と、分かりやすく示す工夫が求められます。そのためには、出資した市町村などが、定期的に三セクの経営状況を点検評価するためのしくみづくりが必要です。総務省の調査では、点検評価の対象となっている法人は、都道府県出資で18%、市区町村出資ではわずか5%にとどまっています。 不良債権に対する金融機関の査定が厳しさを増すなど三セクを取り巻く環境を考えると、情報開示と合わせて点検評価体制の整備も緊急の課題といえそうです。 新潟県長岡市の三セク調査結果(抜粋)
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