NPO協働事業の最前線 |
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2002/12/02 |
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1. 高知県・NPO高知市民会議80%市が補助、財政自立に課題NPO高知市民会議は、95年の阪神大震災後に市が呼び掛けた「ボランティアセンター構想推進委員会」が基点となりました。一時、構想は足踏み状態となりましたが、98年の豪雨災害を機にボランティア同士の連携の必要性が再認識され、99年1月に発足しました。現在、正会員は44団体108個人、賛助会員が4団体7個人で、事務局4人体制を取っています。 ■事業委託、基金造成など市が条例化 高知市が開設した「市民活動サポートセンター」の管理・運営を主体に、情報発信や人材育成などを通じてNPO活動の活性化に取り組んでいます。2002年度事業では、市民から公募したNPO企画事業として、公共交通プロジェクト、カーシェアリング構想、高校生が持っている情報に基づく情報誌づくりなど6事業を採択し、共同開催などを計画しています。また、「企業市民セミナー」では、小さな企業でもできる社会貢献活動をテーマに、企業の持っている資源の活用策などを検討しています。 年間の事業費(2001年度予算)は約3千万円で、このうち約2400万円を市の補助金に依存しています。この補助金も実質的にはサポートセンターの管理委託費で、NPOとして独自事業を進める上では、財源確保による自立的な運営が課題となっているようです。資金対策としては、自治体や企業との協働の視点に立った受託事業が挙げられますが、行政の下請け的な色を排しながら、市民活動を活性化させるといった工夫も求められています。 一方、高知市は「市民と行政のパートナーシップ」を柱とした「まちづくり条例」を制定しました。条例では、市民活動サポートセンターに、行政と市民をつなぐ「中間セクター」的な機能を持たせるとともに、NPOに対する業務参入機会の提供や市民活動基金の造成などを盛り込んでいます。
2. 兵庫県・宝塚NPOセンター協働の仕組みづくりを模索阪神・淡路大震災の被災地となった兵庫県宝塚市では、社会福祉協議会内部で福祉以外の分野でボランティア活動をどうサポートするかが、大きな議論となりました。市民側からもボランティア活動のコーディネートを求める声が高まり、2000年4月、福祉以外のボランティア活動支援が社協のボランティアセンターから独立する形で宝塚NPOセンターが発足しました。会員数約350で全国に広がっています。 ■事業受託の一方で薄れる自主性 事業の三本柱は次のような内容となっています。
宝塚市からの市民活動促進支援事業の受託は、市民と市の協働型のまちづくりへ転換を目指す「まちづくり基本条例」と「市民参加条例」の制定を機に、2004年度からスタートします。しかし、元々この事業は、センターが市から補助金受け、有料で研修事業等を行うことで自主財源としていたものです。委託契約になったために事業の自主性が薄れ、他市の受講者は有料なのに対し宝塚市民は無料化することによる混乱も見られました。 このため、宝塚NPOセンターでは、「宝塚市市民活動促進支援指針検討委員会」を設置し、行政とNPOの事業委託のあり方、市民活動促進基金などNPOへの助成のあり方や仕組みなど、具体的な支援方策や基準を明らかにし、今後の市民活動促進の指針となるよう市に対して提言する計画だそうです。
3. 北海道・ふらの演劇工房公設民営劇場核に地域文化発信 ふらの演劇工房は、富良野地域を愛する人々に対して演劇文化の創造と発信に関する事業を通じて、地域文化の形成を目指す団体で、98年に国内第1号のNPO法人として認証されました。約550名の会員を抱え、演劇関連の事業と同時に富良野市が建設した富良野演劇工場の管理・運営の受託事業を行っています。 ■財源確保に経営努力、黒字スタート 非営利活動の事業としては、高齢者を対象にした演劇リハビリテーション事業や、高校生を対象とした演劇鑑賞の機会提供事業などに取り組み、収益事業も含めた年間総事業費は約5千万円の規模になります。収益事業のうち富良野市からの受託費は約2千万円で、収入源としてはほかに会費収入や北海道や富良野市が費用負担する非営利事業収入、チケット販売収入などがあります。 2000年10月に市が開設した演劇工場は、初年度は半期で約1万4千人という予想以上の来場があり、全国初の公設民営劇場としては好調なスタートを切りました。演劇工房の2000年度決算では、非営利事業で約1千万円、収益事業で約300万円それぞれ黒字を計上しましたが、他のNPOと同様に人件費を中心とした活動資金の確保には、さまざまな経営努力を行っています。例えば、人件費では、ボランティアの活用というだけでなく、複数の緊急雇用対策事業の受注や、行政のアウトソーシングに応じた照明音響技術者の派遣などが挙げられます。 行政との協働という面では、富良野演劇工場の管理・運営受託に際して、関係者の合意形成プロセスに腐心してきたことが、役割分担について共通理解を深める要因となったことが注目できそうです。 (註:本稿は財団法人北海道市町村振興協会・住民参画型まちづくり推進方策調査研究会の調査に基づいてまとめたものです) |
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