「住民向け予算説明書」をどう作るか
〜暮らしと行政の「距離感」縮めるために〜

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 市町村の予算は、市町村長を中心に行政が原案を作成し、議会の審議・承認を経て、成立します。毎年4月から翌年3月までの1年間に行うまちの事業内容とその資金計画が盛り込まれます。

【ニセコ町の予算説明書】

 ■分かりにくい法定の予算書

 一般に「予算説明書」は、議会に提出する予算案の内容説明を指します。様式は地方自治法で定められており、主には事業別の名称と概要、予算額で構成されます。

 「町民向け予算説明書」は、法令で義務付けられたものではありませんが、一般の住民にも分かりやすく予算の内容を説明しているのが最大の特徴です。逆にみると、議会の審議の素材となる説明書は、分かりにくいということになります。現に、項目名と数字が並んだ説明書だけでは、担当外の職員や議員にとっても理解しにくいのが実態のようです。

 ■ニセコ町が全戸配布し脚光

 全国的にも先進的な取り組みとして注目されたニセコ町の「町民向け予算説明書」は、A4版126ページで、2500部が作成され、全戸配布されています。福祉、産業、生活基盤、教育・文化・スポーツ、まちづくり総合の5分野について、施策・事業項目ごとに予算額と事業の概要を説明しています。行政用語や専門用語を避けながら、写真やグラフを使って、分かりやすく説明しているのが特徴です。

 たとえば、議会提出用の説明書では「○○駐車場整備事業・事業費○○万円」とされるものが、地図付きで場所を示し、駐車場の利用目的や周辺施設との関連、一体の整備がどの程度の進捗状況にあるのか、などを説明しています。

 ニセコ町は予算説明のほかにQ&A方式で町の財政状況をグラフなどを交えて解説した資料編を加えています。ほかの導入事例でも、バランスシート(貸借対照表)を添えるなど、一般住民にはなじみが薄かった財政情報を「町民向け予算説明書」を通じて積極的に提供しようとする傾向があります。

 ■行政とまちの姿が見えてきた

 ここ数年「町民向け予算説明書」を導入する自治体が増えてきました。先進例からは次のような成果が挙げられます。

 (1)役場が何をしようとしているのか、住民生活がどう変わるのか、予算を通じて行政とまちの姿が住民に見えてきた。「○○事業」と生活との距離感が縮まったことで、行政への関心が徐々に高まってきた。まちづくり町民会議などを通じて、意見や提案を出す住民が増えてきた
 (2)縦割りになりがちだった職員間の情報共有が進み、意識改革や総合力の発揮、点検活動の強化につながっている
 (3)議会での政策論議が活発になってきた