市町村合併を考える4-1

2000/11/24 

北海道における広域連合の実践例


(1)函館圏公立大学広域連合

地域の産業支える人材を養成

■参加自治体

 函館市、上磯町、大野町、七飯町、戸井町。渡島管内の中でも、通勤、通学、買い物など生活圏が重なり合った地域が参加しました。総面積は1014平方キロメートル、人口は約37万3千人。

■目的

 中核となる函館市には北海道大学水産学部、北海道教育大学函館校のほか私学の函館大学があるだけで、圏域の進学希望者は札幌や東京の大学を目指すほかありませんでした。水産、造船など地域の基幹産業が衰退する一方で、新しい産業を興し、支えていく上で、有能な人材の養成は大きな課題であり、地域の産業・経済・文化を支える総合大学の設置が求められました。

■経過

 94年の函館市長選挙で、公立大学の設置を公約に掲げた木戸隆一氏が当選、翌95年には大学設置検討委員会を設置。函館圏が通産省のテクノポリスに指定されていたこともあって、圏域の町村が参加し、特に理工系の研究開発機能の強化に重点が置かれました。99年に設置認可申請、2000年4月開校。

■費用と財源

 校舎の建築費約111億円、機械器具整備費約13億円、その他基金などを加えて総額140億円。設置基金の85%は函館市が負担、約89億円は起債に頼りました。

■運営


 「公立はこだて未来大学」として複雑系科学科(定員80人)と情報アーキテクチャ学科(同160人)からなります。複雑系の学科は日本初で、知識と技術の地域還元に期待が寄せられています。

■課題

 「公立はこだて未来大学」を巣立った学生の受け皿が果たして函館圏にどれだけあるのか。地元に就職先がなければ、本来の目的は達成されません。大学は単に人材を育成するだけではなく、地域産業と一体となった活動が求められています。産学連携が第一の課題。また、圏域5市町の連携は大学設置にとどまらず、広範な連携が必要。大学運営のための財政基盤固めも重要な課題となっています。

 広域連携もこうした分野にシフトしていく必要があります。

 

 

| INDEX | BACK | NEXT |