市町村合併を考える7-1

2001/3/26

 

総務省・新指針のカンどころ(1)

都道府県知事を「尻たたき役」に

 総務省がこのほど示した「市町村の合併の推進についての要綱を踏まえた今後の取組(新指針)」は、合併特例法の期限となっている2005年3月31日に向けて、さらに推進策を強化する内容となっています。合併後の全国の自治体数を「1000を目標とする」との与党財政改革推進協議会の方針がベースとなっており、「強制合併」に至らないものの、その色合いをにじませています。

■市町村に対する「勧告」も

  第一の特徴は、都道府県を「調整役・旗振り役」にとどまらず「後押し役・牽引役」として一歩前に踏み出させようとしている点にあります。具体的には、年内のできるだけ早い時期に知事を長とする「合併支援本部」の設置と、「合併重点支援地域」の設定を求めています。  特に支援地域については、指定から1年経っても関係市町村に合併協議会が設置されない場合には、知事が「設置勧告」する方策も挙げています。合併は市町村の自主的判断によることが原則ですから、新指針は「勧告を検討するものとする」と婉曲した表現を使っていますが、いわば市町村に対する牽制効果を狙ったものともいえます。

■府県の対応にバラつき

  知事を合併推進の前面に押し立てる背景には、府県によって合併に対する対応にばらつきがあることも、背景になっているようです。たとえば「2000年中のできるだけ早い時期」とした府県単位の合併推進要綱の策定作業は、上半期に公表したのが6県に対し、年明けにずれ込んだのは18府県にも上りました。徳島、香川、宮城など先行県で比較的合併論議が活発化の傾向を見せ、昨年3月に要綱を策定した山梨県は、この4月に推進本部を設置する準備に入っています。財政支援措置については、積極派と消極派で大きな取り組みの違いを見せています。  今年2月に要綱をまとめた石川県の場合は、「広域行政推進要綱」という名称に対して、県議会が「『合併』の字句がないと、合併推進の姿勢が県民に伝わらない」と名称変更を求める一幕がありました。県側は、合併を含めた広域行政という枠の中での論議の必要性を強調し、合併に慎重な知事の姿勢をうかがわせました。  本道の場合は、総じて合併論議は低調で、一部の市町村が合併に関する情報を住民に提供しながら、まちづくりを考えるきっかけにしようという動きが見られる程度。人口規模と市町村間距離を基に機械的に組み合わせた合併パターンも、重点地域指定のベースにするには無理な面があり、新指針に従えば、道のリーダーシップも問われることになりそうです。

 

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