続々・市町村合併を考える2-1注目自治体のその後(1)岩手県・大船渡市の場合 |
2002/02/25 |
駆け足合併から新たな一歩大船渡市は2001年11月、三陸町を編入合併し、人口約4万5千人の岩手県内第9位の都市となりました。合併構想は、99年9月の三陸町議会で佐々木菊夫町長が方針表明したのが発端で、任意協議会設置(2001年6月)からわずか5か月でゴールインというほかに例のない「駆け足合併」でした。 沿岸南部の中核的な国際港湾都市を目指す大船渡市が合併に積極姿勢を見せたのに対して、「編入される側」の三陸町内には、慎重論も目立ちました。この間、町議会では住民投票条例をめぐる論議も展開されました。一方で、2005年3月を期限とする合併特例法の適用に対する期待の声も聞かれました。 ■交付税7.1%増、特例債も活用新・大船渡市にとっては初年度となる2002年度一般会計予算案では、前年度の2市町を合算した当初予算に比べると2.8%増の、総額183億800万円が計上されました。 歳入の21.2%を占める市税収入は38億8700万円で、前年度当初予算対比では8.9%増。地方交付税は同82.4%増の66億円で、2市町合算対比では7.1%増と、特例法に基づく「合算算定」の特典が目に付きます。同様に、国庫支出金と県支出金も大きな伸びとなっています。 歳出では、投資的経費が34億1500万円(前年度市予算対比で79.0%増)となるなど、合併に伴う建設事業の増大を反映しています。人件費などの義務的経費は、84億700万円(同41.2%増)とやや抑制されています。 農林水産費、土木事業費などを中心とした建設計画推進費は、初年度分として総額約47億円が計上され、これに伴って市債は23億5500万円(同133.5%増)と大幅に増えています。向こう10年間で約104億円の枠がある合併特例債は、初年度に約4億円を活用することにしています。 ■旧町議は次期市議選まで残任一方、町職員155人は新市に引き継がれ、うち24人が本庁に異動する人事も行われました(新市の職員総数は487人)。旧三陸町庁舎は三陸支所に改められ、それまでとほぼ同様の総務、税務、市民生活、保健福祉、農林振興、水産振興、地域整備の7課体制(ほかに市教委三陸事務所)となりました。3月人事異動の際に、本格的な組織再編・再配置が実施されるようです。 編入合併のため町の特別職は失職し、佐々木町長はじめ収入役、教育長は非常勤特別職の参与に着き、助役は助役2人制の導入により新市の助役となりました。町議16人は、市議の任期が切れる2004年5月まで市議として在任します。次の市議選は、定数26(旧大船渡市24人、旧三陸町20人)で行われます。これらは、法定協議会の取り決めに基づく措置です。
|