続々・市町村合併を考える4-3総務省・新指針のカンどころ(3) |
2002/04/01 |
恩典・タイムリミットの落とし穴総務省の研究会が2001年8月に作成した法定協議会運営マニュアルでは、協議会設置から合併実現までの所要期間を22か月としています。これに基づいて指針は、合併重点地域の指定を「2002年度中の早い時期」とし、これらの地域では「2003年3月までに速やかに法定の合併協議会を設置」するよう期待しています。 法定協議会設置から合併までは、運営マニュアルに基づく表にあるように進行し、所要時間も2年近くを要するでしょう。2005年3月を期限とする特例措置を受けるためには、確かにこの1年間が「正念場」となります。職員や首長、議員らによる任意の協議会や研究会は、全体の約60%に当たる約2千市町村が設置しており、これらが「合併予備軍」というわけです。 ■まちづくりの視点、参加の手法をしかし、議論の熟度となると千差万別なことも確かです。40%近い市町村の中には、ようやく合併についての情報を広報誌などを通じて流し始めた段階のところも少なくありません。逆に協議会が設置されても、協議の内容、経過などの情報が住民に十分、しかも分かりやすく提供されているとは言えないケースも見られます。「どことくっ付くか」という議論はあっても、「地域をどうするか」の議論がかすみがちな傾向も見られます。 マニュアルは「法定協設置が先決。その中で合併の是非を論ずべき。市町村建設計画案ができた後、住民に説明の上、協定項目の協議に入るべき」としています。特例の恩典はそれなりに大きく、腹を括った首長のリーダーシップも必要ですが、合併がまちづくりの一つの選択肢と考えると、目先の利益にとらわれない、住民参加による冷静な判断も求められています。
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