地方債の格付け

 ■自治体別に信用力を9段階評価
 資金提供先を選別する時代へ

 現在、日本格付け投資情報センター(R&I)という会社が主要な自治体の地方債の「格付け」を公表しています。財務状態を示す16の指標に基づく格付けは、基本的に企業の格付けと同じ方式です。「AAA」を最高に「C」まで9段階に区分し、たとえば中位の「BB」は「債務履行の確実性は当面問題ないが、将来環境が大きく変化した場合、十分注すべき要素がある」といった具合に評価しています。

 現行の格付けでは、北海道、札幌市とも最高位の「AAA」に次ぐ「AA」と評価されています(厳密には札幌市はより上位に近いという意味の「+」、道は下位に近い「−」がそれぞれ付いています)。「AA」は「債務履行の確実性は極めて高く、優れた要素がある」とかなり高い評価ですが、税収の落ち込みが著しい都道府県、政令指定都市の評価は、ここにきて厳しくなる傾向にあるようです。

 地方債の格付けは、自治体の借金返済能力、言葉を代えると信用力をランク付けしていることにほかなりません。金融機関の格付けは、銀行倒産が現実のものとなってきたからこそ注目を浴びたわけですが、自治体についても「不倒神話」に陰りが見えてきたことを示しているともいえます。

 現実には自治体の倒産は法律上あり得ませんが、地方債の格付けは、金融機関が資金の提供先として自治体の選別を始めようとしていることを示しています。信用力の低いまちは公共事業を進めたり、福祉など住民サービスを高度化したくとも十分な資金を調達できない。まちづくりが停滞するから、地域の魅力が薄れて人口の流入や企業進出が鈍くなるどころか、それまで住んでいた人たちさえ、逃げ出してしまう。そんな時代すらやって来かねません。