「主な施設の費用効果分析」
新潟県・上越市

 新潟県上越市では、地方分権の時代に対応して「シティマネジメント」の視点を重視し、「より安い経費で、より市民に身近な行政、より迅速な行政を行う」ことを目標としています。市職員は、オープンシステム(開かれた市政)、マネジメントシステム(経営体としての市政)、マーケティングシステム(住民ニーズにこたえる市政)、テクノクラート(専門家集団としての市政)、アカウンタビリティ(行政責任を持つ市政)という5つの行政スタイルの実践を課題としています。

 ■職員のコスト意識醸成

 こうした理念に基づき財務・会計の面でも、事業別予算方式の導入や、事業ごとの経費内訳と事業執行に必要な財源を関連づけて明示する予算書などの工夫を凝らしています。さらに、バランスシートの作成などを通じて、企業会計的な発想、コスト意識、経営感覚を持った職員の意識改革や行財政運営に関するアカウンタビリティの推進に力を注いでいます。

 ■利用度とも関連付け

 ここで紹介する「主な施設の費用効果分析」は、博物館など市内の主要な施設について、コストや利用状況などできるだけ客観的なデータを集めながら、・施設の規模、内容は適切か・投資した建設事業費は妥当だったか・施設運営や利用実態などに照らした効果に問題はないか〜といった分析を試みようとしたものです。

 12施設を対象にした費用効果分析の内容は次ページの表の通りです。分析項目は、市債利子、人件費なども含めた総コストのほか、総コストから減価償却費を除いたランニングコストを算出し、利用者数や施設面積当たりのランニングコストとか、コストに対する単年度収支率などもはじき出しています。また、施設ごとに分析数値をチャート化し、視覚的にも分かりやすい工夫を凝らしています。

 まだ試行段階ではありますが、税金に基づく多額の建設費を投じ、大きな借金も背負った公共施設が、これらの費用と住民ニーズとの関係でどんな状況にあるのかを、客観的で分かりやすい指標で示す試みは、職員にコスト意識を根付かせたり、アカウンタビリティの徹底を背景とした住民参加の機会を広げるものと考えられます。