ワンポイント・レポート


秋田県・第三セクター経営評価制度

2001/01/12

  

企業任せ反省、全国の導入率は5%

 自治体が出資する第三セクターが経営難に陥るケースが増加傾向を見せる中、出資のあり方や経営状況を評価点検しようという動きも出てきています。また、自治体の行政情報に準じて経営実態についての情報開示を条例などで定める取り組みも見られます。
  特に、バブル期に設立された観光・リゾート関連の第三セクターでは、自治体が出資にとどまらず土地や建物を提供しながら、経営はパートナーの民間企業に任せっきりというケースが見られました。中には、多額の負債を抱えて経営破綻に追い込まれ、ツケが住民に回されるという事例さえありました。点検評価や情報開示は、こうした反省を踏まえて制度化されたものも目に付きます。

 ■市町村の取り組みが緩慢

  ただし、全体としては緩慢な取り組みにとどまっています。総務省の資料によると、定期的に経営の点検評価の対象となっている法人の割合は、全体のわずか5.9%に過ぎません。特に、市区町村が出資する法人では3.3%、都道府県出資では5.1%と低率で、37.0%が対象とされた政令市出資のものと対照的な結果となっています。
  点検評価を行う体制では、第三セクターのあり方に関する検討委員会(秋田県)、北九州市外郭団体総合調整委員会(北九州市)、堺市外郭団体総合調整委員会(堺市)などが、地方公共団体が出資・出えんする法人について包括的に点検評価する委員会を設置しています。このほか、公園緑地協会あり方検討委員会(埼玉県)、宗谷畜産開発公社経営検討委員会(稚内市)などは、個々の出資・出えん法人を点検評価する委員会を個別に設置しています。

 ■統一基準で経営チェック

  秋田県では、三セクの効率化の一環として、99年度から統一的な経営評価基準を設定するとともに、庁内チェックと三セクのセルフチェック機能の強化を図っています。さらに専門家による経営指導班を設置し初年度に5法人の改善指導を行ったほか、事業規模が10億円以上の法人には監事職に会計専門家を登用することにしました。
  これらの点検評価を踏まえて、2000年度には類似した事業を行っているスポーツ関連の4法人、農業関連の5法人をそれぞれ一元化・統合する作業にも着手しています。三セクに対しては自己責任に基づく経営を求め、県との責任分担を明確にしています。
  また、地方公共団体が条例・要綱などによって情報開示を定めている第三セクターの数は、都道府県の出資・出えんによるものでは40.4%、政令市では35.7%を占めています。これに対し、市区町村が出資・出えんする法人では9.5%にとどまり、情報開示の遅れが際立っています。

 

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