3.住民発議83件、消極首長動かす
法定の合併協議会は21設置されていますが、このうち11協議会が住民の請求による「住民発議」に基づいています(前号一覧表参照)。有権者の50分の1以上の署名があれば市町村長に協議会の設置を請求できる、という直接請求の考えに立った制度で、95年の市町村合併特例法の一部改正によって新設されました。
この改正法の最大の特徴は、それまでの特例法が合併のための「地ならし」にとどまっていたのに対し、「積極推進」の方向を打ち出した点にあります。住民発議制度は、合併に対する首長や議会の消極姿勢にくさびを打つ効果を上げています。
■首長主導型は続々ゴールイン
現に、これまで行われた住民発議は83件にも上り、合併対象は33地域、142市町村に達しました(9月20日現在)。この結果、23件の発議に基づいて11の協議会が設置されたのですが、残りの60件については、関係市町村すべての首長・議会の承認が得られず、協議会設置にまでは至りませんでした。合併に向けた間口は広げられたもののなお壁は高いこともうかがわせる数字ですが、住民発議制度を機に、合併の機運が高まってきたことも間違いありません。
一方、住民発議によらない合併協議会は、その多くが関係首長や議員らの合併に対する積極的な取り組みがきっかけになっています。首長懇談会や議員同士の研究会の積み重ねから任意協議会を経て、合併協議会にたどり着くのが一般的です。このため、住民発議による場合に比べて、法定の協議会設置後あまり時間をかけずに合併にゴールインしています。
下の表は2001年1月に合併して「西東京市」となる保谷・田無両市のこれまでの経過をまとめたものです。「昭和の大合併」のきっかけとなった53年の町村合併促進法の施行直後から合併構想が浮上しては消えて行きました。長い空白を破ったのは、選挙で合併を公約に掲げた市長で、95年の改正法施行後は急テンポで合併の実現に向けた作業が、住民参加の下で進められました。
53年 |
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(町村合併促進法施行) |
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田無、保谷等4町合併構想浮上 |
54年 |
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田無、保谷等3町合併構想浮上 |
64年 |
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田無、保谷両町議会が合併に関する決議案可決。 |
65年 |
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合併協設置するが合意に達せず |
67年 |
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田無、保谷それぞれ市制移行 |
90年 |
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田無市長意欲示し、合併論再燃 |
93年 |
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現保谷市長が合併公約し当選 |
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両市の合併促進議員連盟発足 |
95年 |
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(市町村合併特例法の抜本改正) |
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田無JCが合併アンケート調査 |
96年 |
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市民向けパンフ発行 |
97年 |
1月 |
現保谷市長が合併を公約に再選 |
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4月 |
現田無市長が合併を公約に再選 |
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11月 |
両市議会が合併決議案可決 |
98年 |
2月 |
任意合併協議会が発足 |
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7月 |
将来構想策定委員会が発足 |
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12月 |
「21世紀フォーラム」開催 |
99年 |
4月 |
合併推進協のホームページ開設 |
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5月 |
将来構想中間報告の説明会開催 |
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7月 |
新市将来構想策定 |
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10月 |
法定協議会が発足。新市名公募 |
2000年 |
7月 |
市民説明会、市民意向調査 |
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8月 |
合併調印、都知事に申請 |
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9月 |
東京都議会で合併決定 |
2001年 |
1月 |
西東京市誕生 |
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