市町村合併最前線

 4.国、県の財政優遇措置が後押し

 95年の市町村合併特例法の一部改正では、住民発議の制度新設とともに、合併に関する財政措置の充実が推進策のもう一つの柱とされています。
 合併推進のための地方財政措置としては、協議会の設置経費など準備経費に始まって、コンピュータシステムの統一など合併直後の臨時的な経費や、合併後10年間は合併しなかった場合の普通交付税額を全額保障するといった手厚い支援策が盛り込まれています。

 特に、合併後のまちづくりのための建設事業と旧市町村単位の地域振興のための基金造成に対しては、元利償還金の70%を地方交付税で措置する特例地方債(合併特例債と呼びます)が認められたことは、合併を目指す自治体にとっては魅力に映っているようです。

 自治省のホームページには、この合併特例債を自動的に試算するソフトが組み込まれ、モニター上で市町村名を選ぶだけで瞬時に財政措置の数値がはじき出される仕組みになっています(次ページ試算例参照)。こんなところにも、合併推進にかける政府の意気込みと、財政支援措置の「呼び水効果」が表れています。

 財政支援策のもう一つの「みそ」は、特例法の期限が2005年3月までと限られている点です。

 ■2005年「期限のムチ」も

 市町村に交付される合併準備補助金なども、支援策が拡充された99年度以降に設置された法定協議会参加した自治体や期限内に合併した市町村を対象としています。市昇格の人口規模の特例措置(4万人以上)と合わせて「期限延長」を求める声が市町村の間に高まっていますが、自治省は特例法の2005年打ち切りの方針に変わりがない姿勢を示し、この数年を合併推進の「勝負所」と見ているようです。
 下の表は、合併推進のための財政措置を取っている都道府県と支援概要を一覧にしたものです。このほか検討段階のものでは、長崎県が合併後の財政支援策として、5億円の基本額に、最高20億円まで2億円づつ加算する交付金制度を推進要綱に盛り込みました。合併推進に熱心な知事の主導による措置で、これをきっかけに県内での合併論議が高まっています。「あめ玉につられて」というのでは少し情けないような気もしますが、合併を含めた地域づくりの論議を深めるには、環境整備も必要ということでしょう。