石狩市・市民の声を活かす条例(1)

2002/02/18
(オンラインプレス「NEXT212」68号掲載)

 

 市民参加進める手続をルール化

 札幌の近郊都市・石狩市の「行政活動への市民参加の推進に関する条例」が、2002年4月から施行されます。大阪府箕面市の「市民参加条例」や北海道ニセコ町の「まちづくり基本条例」などと同様に「住民参加」をまちづくりのキーワードに据えながら、より踏み込んだルールを定めています。

 「まちづくり」という言葉は、画一化した都市計画の反省に立って70年ころから一般化しましたが、当初は都市整備のハード面に重点が置かれました。やがて地域の文化や産業、自然などを総合的に考える流れへと変化して行きますが、景観や街並み保全を目的にした地域のルールが「まちづくり条例」と表現されました。

 90年代に入って「地方分権・地方の自立」が叫ばれるに連れて、住民参加を基点にした「まちづくり」が一層重視されるようになってきました。97年に制定された箕面市民参加条例では、「協働」をキーワードに市民参加の基本理念を明示、「まちづくり条例」は「住民参加条例」へと内容を変えています。

 最近では、箕面市の動きに触発されるように宝塚市、生野町など兵庫県内の自治体が条例化に積極的に取り組んでいるほか、神奈川県横須賀市、岡山市や長崎県小長井町、北海道猿払村、旭川市などへと広がりを見せています。

 ■「憲法型」に対し行政の義務を明文化

  これらの条例の多くは、箕面市民参加条例を一つのモデルとして、住民参加によるまちづくりの理念を明確化した「市町村の憲法」的な色合いが強い内容となっています。住民参加の理念の基に、市長に対しては参加の機会提供と行政情報公開の責務、市民に対しては「自らの役割と責任を自覚し、積極的参加に務める」との責務を挙げるとともに、会議の公開や委員の市民公募などの原則を掲げています。ニセコ町まちづくり基本条例は、参加の原則に基づき計画策定や財政運営、政策評価などに踏み込み、「憲法」としての完成度は高まっています。

 これらの条例に対して、石狩市民参加推進条例は、「石狩市民の声を活かす条例」とも呼ばれるように、住民の意向を最大限まちづくりに反映させるために行政が取るべき責務を、具体的に定めているのが特徴です。漠然とした理念や努力目標ではなく、ある意味で行政の手足を縛る「手続き規定」という点で、「憲法型まちづくり条例」とは性格が異なっていると言えます。

【条例制定までの経過】

1999年 6月 条例公約に新市長誕生
同11月 市民参加制度研究班設置
同12月 広報誌で情報提供開始
2000年 5月 試案公表、意識調査
同 7月 意識調査結果公表
  市民参加制度検討委設置
2001年 3月 検討委提言書
同 7月 素案公表
  パブリックコメント実施
 同 9月 市議会で条例案可決
同10月 研究班解散
同12月 参加制度調査審議会設置

 

 

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