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協働型社会へ、問われる住民意識石狩市は、札幌市の北部に隣接するベッドタウンとして人口が急増し(現在約5万6千人)、96年に町から市となりました。古くからの漁村とあって「新旧」の住民意識の違いや、都市機能の「札幌依存」などを背景に、新たなまちづくりを目指してきました。 ■トップダウン、研究班は職員から公募そうした中で、市民参加条例とパートナーシップ制などを公約に掲げて、99年に初当選した現町長のリーダーシップにより、条例制定の取り組みが行われました。99年11月、係長以下の公募で選任された職員を中心にプロジェクトチームが組まれました。トップダウンによるスタートでしたが、既存の部署に条例づくりを任せるのではなく、意欲のある職員の研究組織として試行錯誤を重ねたそうです。 職員全員に対するアンケート調査なども行い、市民の意見を聴いた事業は過去3年間に31件あり、実際にこの業務に関係した職員ほど住民参加の必要性を実感していることなどが分かりました。2001年3月に素案ができるまでの約1年半の間に、市民参加をテーマにした広報誌での問題提起が4回、検討内容についての出前講座・市民説明会は計5回開催。全世帯を対象にした住民意識調査を行ったほか、素案の公表と併せて1か月間の期間設定によるパブリックコメントも実施しました。 ■条例づくりに住民の反応は低調パブリックコメントは、条例を先取りする形で行われましたが、住民から寄せられた意見は電子メールが3人、文書と電話が各1人にとどまりました。意見の内容は21項目にわたり、検討結果とその理由も条例に沿って公表されました。このうち、毎年度の参加手続実施状況の一覧公表など4項目が条例案に反映されました。 条例そのものに対する住民の反応は、回収率2%にとどまった住民アンケートやパブリックコメントの結果に表れているように、必ずしも高いとはいえません。その背景には、「行政のことは行政にとりあえず任せておく」といった「お上まかせ」の住民意識も垣間見ることができます。しかし、地方分権と財政難の流れの中で、従来型の「あれもこれも」は通用せず、「あれかこれか」の選択を自治体は迫られるようになってきています。 石狩市の条例は、その選択に当たって住民の声を取り入れる行政側のルールを定めたものであり、今度は、住民の側がこれにどう応じ、参加の機会を活用していくのか。さらには、参加から協働へとステップアップできるのか、住民自身が問われていくことになりそうです。
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