ニセコ式コミュニケーションツール活用法(3)

2002/03/11
(オンラインプレス「NEXT212」71号掲載)

 

 縦割り意識排除、会議は公開

 ニセコ町では、住民参加型の行政を推進するしくみの整備にも力を注いできました。そのベースとなるのが情報公開条例、個人情報保護条例やまちづくり基本条例であり、行政内部の改革でした。

 ■庁内ネットワークをフル活用

 行政内部の取り組みのキーワードも「情報の共有」にあり、そのための環境づくりとして全職員をコンピュータでネットワークする行政情報システムの整備が進められました。文書のデジタル化とデータベース化により作業が効率化されるだけでなく、情報共有が進みました。行政とまちづくりの「昨日・今日・明日」を綴った「町長室日記」が毎朝、職員に配信され、住民(一般)にも公開されています。

 管理職会議は全て公開し、一般職員が傍聴することも可能。別名「いっしょにやるべ」と呼ばれる庁内政策推進会議は、係長以下の職員が任意に参加して開かれるのですが、各課の個別の課題を縦割りではなく、横の連携で考えようという点に大きな特徴があります。行政課題を自分の所属する部署に限定せず、まちづくりの広い視点から考えようという発想は、自主研修制度や「環境美化巡回制度」にも表れています。

 ■職員が地域巡回し、課題掘り起こし

  ニセコ町では、職員1人当たり約15万円の予算を充て、地方自治関連の団体・機関や大学院、地域リーダー養成塾などに派遣しています。このほか、自由な研修予算枠を設け、意欲的な自主研修を奨励しています。「環境美化巡回制度」は、地域の現状を良く理解するためのもので、巡回後にはリポートの提出が義務付けられています。これは、職員による「地域情報」の収集活動であり、地域課題を探り出し、解決するための有効な手法ともいえるでしょう。 職員、住民の意識改革と情報の共有、そこから、総合的な視点に立ったまちづくりの目標と行動が生み出されようとしています。

【ニセコ町の情報共有の基盤】

庁内体制 情報共有の基盤 実施概要
職員研修 基礎研修、先進地研修、政策開発など
職員1人当たりの研修費予算約15万円
自主研修 自由に何時でも利用できる研修予算枠設定
「いっしょにやるべ」 
(庁内政策推進会議)
個別課題について係長以下の職員を公募して構成
縦割りの弊害を排除し、横のつながりを重視
環境美化巡回制度 さまざまな地域課題に対処するため地域の現状を把握する
職員は巡回リポートの提出義務
公開による管理職会議 一般職員の傍聴も自由
庁内LAN・町長室日記 1人1パソコン体制
情報の共有による職員間の相互理解
町民総合窓口課 95年設置、ワンストップサービスを目指す
条例 情報公開条例 99年4月施行
個人情報保護条例 99年4月施行
まちづくり基本条例 01年4月施行、パブリックコメント実施
 

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