ニセコ式コミュニケーションツール活用法(2)

2002/03/11
(オンラインプレス「NEXT212」71号掲載)

 

ごみ処分場 計画段階から住民が参画

 ニセコ町の一般廃棄物最終処分場計画は、いわゆる「迷惑施設」の建設をめぐるもので、多くの自治体が住民理解を得ることに苦労しているテーマの代表格です。表にあるように、ニセコ町は第1段階では広報誌や町民講座などを通じて、ごみと住民の暮らしとの関わりといった基本的な情報からリサイクルの手法、最終処分の考え方などについて、時間をかけてわかりやすく伝えることに重点を置きました。

 具体的な建設計画と立地点の選考に関しては、「まちづくり懇談会・まちづくりトーク」の場を活用しました。ここでは計画の構想段階から住民に意見表明の場を持つとともに、公募委員を加えた検討委員会の開催によって、住民自身が政策決定に責任を持って参加する状況を作り出しました。単に処分場立地の是非の視点からだけではなく、環境や産業、財政など総合的な視点から議論された背景には、積極的な情報公開と日常的なコミュニケーションの積み重ねがあったためと思われます。

 行政と住民の情報共有、それに基づく議論に約3年を要しましたが、この過程の経験が「まちづくり基本条例」の制定にもつながったといえるでしょう。

【ニセコ町一般廃棄物最終処分場計画をめぐる住民参加の取り組み】

情報共有の方法 実施要領 一般廃棄物最終処分場計画
広報誌・ホームページ 「広報ニセコ」月1回全戸配布
ホームページで随時情報発信
電子メールによる意見聴取
98年12月 ごみの現状と課題
99年6月 委員会委員の公募
99年8月 最終処分場経過・日程
99年12月 最終処分場経過説明
99年12月
〜00年1月
私の意見
そよかぜ通信 電話回線による全1850世帯への情報、1日3回定時、随時特別放送 99年6月 委員会委員の公募
まちづくり懇談会 意見要望の聴取・予算への反映
毎年10〜11月13会場で開催
98年10月 処分場計画の概要説明
99年10月 地域選定経過の説明
意見交換
予算説明会 4月に自治会代表に説明
予算説明書の全戸配布
 
まちづくりトーク 住民グループの希望に応じ 町長または課長が出向いて懇談 00年1月 最終処分場に関し懇談
00年8月 処分場建設に関し協議
こんにちは・おばんです町長室 月1回町長が住民一人ひとりと懇談
要件がなくとも気軽に立ち寄れる
 
まちづくり町民講座 住民と職員がともに考える場
住民は自由参加、ほぼ月1回開催
98年11月 リサイクル対策等説明
意見交換
99年5月 地域選定法、住民参加のあり方等協議
00年2月 ごみ減量等説明、協議
01年2月 処分場作業日程の説明
02年7月 建設経費等の説明
事業別住民検討会議 主要事業の計画段階からの論議
随時開催・自由参加
98年10月 2つの候補地点
00年11月 ごみ問題町民検討会
委員会・審議会 極力公募枠を設けた人選 一般廃棄物対策検討委を計5回開催
 
 

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