特集 2002年 地域はどう変わる4. 首長・自治体職員 リーダーシップと政策で明暗 |
2002/01/21 |
中央集権から地方分権へ、さらには地方主権時代へ。官治民従から官民協働へ。住民自治の流れが加速する中で、まず第一に問われるのは、市町村長のリーダーシップでしょう。 国や都道府県との関係では、市町村の自主自律が至上命題とされ、独立した政府として独自の政策と制度を形作ることが求められてきます。自治体の権限拡大に伴って、首長の権限・役割も増大していくからです。 ■問われるマネジメント能力また、住民との関係では、公的サービスの提供者として、住民の満足度をより高めるための事業執行能力が自治体には求められます。首長には、品質とコストと効率性を強く意識した高いマネジメント能力が要求されます。 一方、住民の価値観が多様化する中で住民ニーズを的確に汲み取りながら、限られた資源・財源を地域づくりに生かす、柔軟な発想と行動力も不可欠です。政策の立案・選択が、まちを大きく左右することになるでしょう。 地方の財政危機が深刻化する中で、首長の資質・リーダーシップがまちづくりの「勝ち組・負け組」を色分けする状況が、現実化しつつあります。2003年の統一地方選に向けた「首長選び」もまた、こうした情勢を反映し、従来にないタイプの候補や選挙手法も出てきそうです。 ■職員は地域のプロデユーサー首長と同様に、行政組織・職員も、変革が求められています。 第1は住民本位。住民の意向を行政に的確に反映するためのリサーチ能力とコミュニケーション能力は基本的な職員の資質と言えるでしょう。特に、住民参加型のまちづくりが主流となる中で、行政情報と住民情報をきちんと循環させる仕組みと、職員のメディアリテラシーが重要となるはずです。 第2は成果主義の徹底。「何をしたか」よりも「その結果どうなったか」がますます問われ、評価・検証のシステムとして、行政評価制度が定着するでしょう。 第3は、政策立案能力。柔軟な視点と発想による目的実現のためのプランニングが、まちづくりの方向を決定づけます。住民参加から住民との協働型へと発展していく過程では、プロデユーサーやコーディネーター的な役割も増えていくでしょう。 大量失業・リストラ時代にあって地方公務員に対する住民の視線はいっそう厳しくなっています。また、市町村合併は、職員個々の専門的知識・能力と、それらの職員による総合力の底上げにこそ大きなメリットがあることから、あらためてそれぞれの職員の資質・能力が問われることになります。 組織体としては、縦割り構造からより柔構造へ。弾力的・機動的な人材の配置・動員が課題となります。情報の受発信・共有化、NPOなどのさまざまな地域セクターとの連携、シンクタンク的な機能も求められるでしょう。また、地域の独自性が求められる教育や法制部門、財政環境の変化に対応した金融部門などの強化が課題になってくると思われます。 |