市町村合併を考える7-3

2001/3/26

 

総務省・新指針のカンどころ(3)

「飴の政策」拡充、なお根強い不安

 新指針は、基本的に「飴とムチ」の政策を強化したといっていいでしょう。都道府県知事にムチを握らせ、合併に消極的な動きをけん制する一方で、合併推進のための財政支援策をさらに拡充しているからです。

■課税免除など特例措置追加

  「飴の政策」としては、既に合併市町村のまちづくり・基盤整備のための合併特例債や、通常の交付税に上乗せした財政措置などを制度化しています。新指針では、都市計画税や事業所税など課税している自治体としていない自治体とが合併した場合、一部の企業、住民にかかる急激な増税解消策を、現行の3年から5年に延長します。また、都道府県に対する財政支援も拡充されることになりました。  もちろん、これらの特例・優遇措置は、2005年3月31日までにゴールインすることが大前提になっています。一般に、合併の議論が具体化してから関係議会が合併を承認するまでには2〜3年間を要します。従って、この1年間が有利な条件で合併できるかどうかの分岐点になるわけで、タイムリミットをにらんで合併に向けた作業を急ぐ自治体も目に付いてきました。

■85%が「必要」というが…

  この1年間にわたって全国の都道府県で市町村合併をテーマにしたフォーラムが開催され、参加者らを対象にしたアンケートが行われました。フォーラムでは合併推進策が詳細に紹介されたこともあって、「今すぐ合併する必要がある」とする回答は、フォーラム開催前に19%だったのが開催後は28%にはね上がりました。  全体の調査結果では、23%が「今すぐ必要」と答え、「いずれ必要」は62%、「合併は不要」との回答はわずか7%にとどまりました。  また、合併に対する不安として、「民意が反映されない」が最も多数を占め、これに「公共施設が遠くなる」「まちの一体感、個性を喪失する」「学校が統廃合される」が続いています。合併に対する支援措置などが強調される一方で、まちづくりの未来に対する不安が必ずしも解消されていないことがうかがえます。  新指針は、向こう1年間に合併論議の活性化を期待していますが、十分な情報公開と議論が必要であることはいうまでもありません。

 

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