続・市町村合併を考える2-1住民意識調査の活用法(3) |
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2001/09/08 |
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目的、手法で変わる調査結果秋田県南部の日本海に面した象潟、仁賀保、金浦の3町企画担当者で構成する「広域的町づくり推進協議会」は今年8月、全9136世帯を対象に3町合併に関する住民アンケートを実施しました。回答は84.2%、7694世帯に上り、この種の住民意識調査としては、高い回収率となりました。 集計の結果、49.4%に当たる3800世帯が合併に「賛成」と回答し、「反対」の23.6%、1818世帯を大きく上回りました。町別に見ると、「賛成」の割合が最も高かったのが金浦町の61.5%(「反対」は14.0%)でした。仁賀保町は「賛成」が48.6%「反対」23.3%で、象潟町は「賛成」45.3%「反対」27.6%と、ほぼ同様の傾向で合併にはやや消極的な数字となっています。象潟町の人口が多いこともあって、3町合計では「賛成」がわすかに半数を下回り、住民の意思をまとめるにはまだまだ議論の余地が残されていることをうかがわせました。
■「賛成」49%、「分からない」22%調査結果で気が付くのは、3町ともに合併の賛否について「分からない」と答えたり、無記入の回答が24〜28%と高い比率を占めた点です。全世帯対象で比較的高い回収率であることから、賛否の数値はこの種の調査としては概ね精度が高いと考えられるだけに、全体の27%を占める「態度保留」の意味を的確に分析する必要があると思われます。 「分からない」という回答の裏には、賛否を判断するだけの材料がないことなどを理由に「判断のしようがない」ケースや、合併について一定の考えを持っているが「白か黒か」と一概に答えにくいケースなどもあるでしょう。前者の場合は、住民に対する合併問題に関する情報がどの程度浸透していたかによって自治体間や世帯間で「数字の意味」が異なってきます。後者の場合は、調査の仕方次第で「賛成」にも「反対」にもぶれる要素を含んでいます。 こうした調査では、調査の目的、手法が結果を大きく左右することを踏まえて、調査計画を立てたり、結果を分析することが必要になります。3町のケースでは、住民に対するヒアリングなど定性的な調査を加えて、「分からない」の意味を読み解く工夫などが考えられます。少なくとも「数字の一人歩き」は避けなければなりません。 |
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