続・市町村合併を考える2-2

住民意識調査の活用法(4)

2001/09/08

 

 行政思考と住民感覚に差異

 岩手県宮守村は今年6月、有権者4543人の中から男女各500人を無作為に抽出して広域合併に関する意識調査を実施しました。回収率60.8%で今後の合併について、「積極的に進めるべき」「どちらかといえば合併すべき」を合わせた賛成派が47%に対し、「どちらかといえば合併すべきではない」「絶対すべきではない」を合わせた反対派が34%を占めました。

  この調査で特徴的なのは、賛成と答えた住民に対して、近隣10市町村の中から合併の相手候補を求めたことです。地図にあるように宮守村は、盛岡市の南部に位置し、西には花巻、北上市が、東には釜石、遠野市が、南には江刺といった具合に、人口3万〜7万人規模の市に囲まれています。つまり、合併を考えた場合、いろいろなパターンが考えられることから、こうした調査項目が設定されました。

 ■予断抱かずに情報を共有

  この結果、最も多かったのが花巻地域の31.6%で、市としては唯一隣接する遠野市が19.9%を占めました。県の広域行政推進指針に盛り込まれた遠野市との2市村合併よりも、住民にとっては花巻地域の方が身近な存在に映っていることがうかがえます。 これと同様の傾向として、花巻、北上地域を合わせた岩手中部地区での合併が10.6%を占めました。このほか、境界を接する東和町、大迫町など隣接町との合併パターンも9.6%あり、合併組み合わせについての住民の考えは多様であることが分かります。

  こうした内容から見ても、県や市町村など行政サイドの思考と住民の感覚には往々にしてギャップが生じることがあります。多様な選択肢の中からどれを選ぶのか、あるいは合併に頼らずにまちづくりを進めるのか。文字通り、住民の自己決定に委ねられているのです。予断を抱かずに、住民と関係自治体が情報を共有しながら、その方向を探ることが重要と言えるでしょう。

 

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