続々・市町村合併を考える1-2住民投票条例の可能性(2)
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2002/01/28 |
首長・議会・住民に意識のズレ 新潟県・佐渡島の両津市議会は2001年12月、島内10市町村による「1島1市」合併の是非を問う住民投票条例案を、定足数の3分の2を超える賛成12反対6で可決採決しました。これに基づき今春にも住民投票が行われることになっています。上尾市に次ぐ条例制定ですが、こちらは住民請求ではなく、議員提案による条例化でした。 ■「1島1市」論の市長が再議権発動 10市町村による任意の合併協議会は2001年6月に設置され、両津市の川口徳一市長は合併推進の立場。しかし、議員には消極論・慎重論が根強く、住民投票条例案の議員提案は、市長の不信任案的な側面も持っていました。また、市内全世帯を対象に実施した「合併アンケート調査」では、合併は「必要」「どちらかと言えば必要」が62.6%、「不要」「どちらかと言えば不要」が19.8%となったものの、回収率が43.6%と低かったことから、議員側は「情報公開をきちんと行った上で、住民投票で決するべき」と主張しました。 市議会は12月21日、条例案をいったん可決しましたが、市長は「合併参加の方針で来ており、住民投票は無用な混乱を招く」などとして再議権を発動し、事実上「拒否」の姿勢を示しました。しかし、同28日の再審議の結果、再び議会は条例案を可決し、投票の実施が決まったのです。 ■10万人署名に基づく条例案否決一方、静岡県の静岡、清水両市議会はこの28日、「静・清合併の是非を問う住民投票条例案」を審議しました。両市民合わせて10万人以上の署名・直接請求に基づく条例案に対し、合併推進の立場の両市長は4年間にわたって公開の場で協議を重ねてきていることを挙げ「合併協議会の是非決定を尊重し、最高意思決定機関である市議会において可否を決するべき。住民投票は否定しないが、条例は不要」と主張。一方、条例賛成派は「ふるさとの未来は住民の意思で最終的に決めるべきだ。住民説明会などには限界があり、住民投票は住民意思を把握するため最適の方法だ」などと主張しましたが、採決の結果、条例案は否決されました。
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