続々・市町村合併を考える2-5

注目自治体のその後(5)香川県・さむき市の場合

2002/03/04

 

  5町で機能分担しネットワーク

 香川県東部の大川郡8町の合併を求める住民発議が行われたのが98年12月。しかし、志度、長尾両町議会が合併協設置案を否決し、白紙に戻りました。県西部の三豊郡と似たような経緯をたどりながらも、99年9月には、大川、志度、長尾の3町議会の合併推進決議を機に、津田、寒川を加えた計5町による任意の合併協が発足しました。2000年4月には法定の協議会に移行し、2002年4月に「さぬき市」として新たなスタートを切ることが決まりました。

 ■CATV、幹線道整備なども柱に

  新市は面積約158万平方キロメートル、人口約5万8千人と県内第4位の人口規模の市となります。新市建設計画では、健康と福祉のまちづくりなど少子高齢化に対応した施策とともに、CATVネットワークの整備などによる「情報さきがけ都市」も基本方針の柱に据えています。

 合併後も5町の中心市街地・拠点はそれぞれ分散しつつ機能分担と連携を図ることとしています。例えば、旧津田町は臨海・漁業資源を活かした健康・癒し関連の観光・レクリエーション・交流拠点として強化し、旧寒川町は総合病院を核とする医療拠点としての機能強化を図るとともに、総合的な健康・医療・農業振興の拠点づくりを進める計画です。

  このため、5町を連携する幹線道路網の強化や、鉄道・バス等の公共交通網利用の促進、歩行者・自転車のネットワーク形成などを目指すことにしました。

 ■議員報酬引き上げに「お手盛り」批判

  合併へのカウントダウンが始まる一方で、問題も持ち上がりました。5町の議員(定数合計68人)は、合併特例法の特例措置によって合併後1年2か月間は市議として在任することが認められます。ところが、合併協では議員の定数の決定を先送りする一方で、市議に対する議員報酬を月額43万円とする案が浮上しました。現行の町議報酬は5町ともに27万円ですから、一挙に16万円の引き上げとなります。

 特例措置の枠内で、また市議報酬としては概ね標準的とはいえ、財政の効率化を掲げた合併の目的とは相反するもので、新市建設計画からみると2億円近い負担増となります。しかも、報酬審議会も設けていないことから「お手盛り」の批判は避けられませんでした。

  結局、当初案は白紙化し、改めて住民も加わった審議会の場で検討することとなりました。計画に盛り込んだビジョンをどう具体化していくかという問題も含めて、情報の公開、審議の透明化と、住民参加によるまちづくりの推進の重要性を示す出来事でした。

 

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