来るか 地域主権時代〜藤沢町に見た住民自治の姿

【2.コミュニティの特徴-4】

地域メディア研究所代表 梶田博昭

2002/09/17
(オンラインプレス「NEXT212」94号掲載)

 

 <3>運営・活動〜高い自治意識、行政との協働

 藤沢町のコミュニティの最大の特徴は、「地域の問題は自ら解決する」という自律の考え方や仕組みがしっかりしていることです。個人の責任で行うこと、自治会が取り組むこと、行政の役割、それぞれが協働すべきこと、をそれぞれが自覚し、地域の問題は住民同士の知恵と力で解決することを第一と考えます。環境美化や防犯にとどまらず、福祉や保健予防は「地域の仕事」として住民が積極的に活動しています。

 また「広域的に考え、支え合う」姿勢も徹底しており、利害が相反する地域間の対立や地域エゴが表面化することはほとんどないといいます。その実情を直に確かめることはできませんでしたが、「自分のためを考えるなら、周りのためも考えねば」という住民思考と、「究極の情報共有」が大きな要因になっているのではないかと推測しています。

 住民にとって情報共有は、日常的なコミュニケーションの中で行われており、「地域担当制」による職員との日常的な接触も重要な要素と思われます。各戸に引かれた有線放送からは、町議会のやり取りが流れてきます。五感でお互いの存在を感じ取れる程度の距離という意味で、平均70世帯の自治会は単位コミュニティの目安とも考えられそうです。目配り・気配りの行き届くコミュニティであり、互いのコミュニティの動きも見える規模の自治体だから、「配慮」や「譲歩」が当然に行われ、「あうんの合意」や「時間による解決」が自然になされるのではないかと思います。

●住民同士が互いに見える規模

 フォーラムの問題とも重なりますが、情報を共有し、現実的な問題解決にコミュニティが機能するという点で、世帯・人口規模は大きな要素となりそうです。東西16キロ、南北15キロのエリアに旧町村の4集落がある藤沢町の場合は、最小の自治会が30世帯を切っており、コミュニティの機能の高まりとともに、統合・再編が課題となってきています。住民同士の意思疎通の面では70世帯程度が適度な規模と思えますが、協働による活動範囲の拡大を考えると、より多角度からの検証が必要でしょう。

 

 

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