来るか 地域主権時代〜藤沢町に見た住民自治の姿【2.コミュニティの特徴-5】地域メディア研究所代表 梶田博昭 |
|||
2002/09/17 |
|||
<4>政策との連動〜まちづくりの重要課題の解決に生かされている藤沢町の住民参加型まちづくりは、生活環境の整備にとどまらず、医療・福祉、教育の分野で大きな成果を上げています。家庭内での自助努力、地域内での助け合い、行政の援助〜が互いにうまく連動しており、全町の90%の世帯が参加している民間ボランティアや地域福祉医療基金が、それを裏付けています。
しかし、最も注目すべきは、住民自治を主眼とした自治会の組織化が、産業振興策と連動して進めらたことにあります。住民自治の基盤となる地域の崩壊に歯止めをかけなければ、住民自治そのものが無意味であり、働く場がある、という地域存続の絶対条件を満たすことが、住民自治の可能性を広げるからです。藤沢町は、住民自治と産業振興を巧みに連動させることで、その両者の実を上げていった点で高く評価できると思います。 産業振興策の最大の柱は、農業であり「地域の実情に合った独自の農業を住民主体で展開する」ことが目標とされました。集落単位に協業化により適地適作農業を行う「1集落1農場」構想を基に、「ミニ計画」などを通じて住民・コミュニティの考えを探りながら方策を具体化していったのです。その過程では、営農生活計画の自治会内公開や生産法人化、新規参入の受け入れなどに、「参加と協働」の発想が生かされ、同時に住民同士の結束を深めるという効果を上げたようです。 また、産業振興のもう一つの柱が「農工一体のまちづくり」で、半生を託せる企業の誘致に当たっては、住民が融通し合って工場用地を提供するなど、協働によるまちづくりの成果の一面をのぞかせました。
|
|||