来るか 地域主権時代〜藤沢町に見た住民自治の姿【3.地域分担制】地域メディア研究所代表 梶田博昭 |
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2002/09/24 |
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「自分の故郷の原点である生産・生活基盤をどうするか」。「ミニ地域開発計画」づくりは、住民参加の道筋を付けるきっかけとして実施されましたが、この作業で職員は重要な役割を果たしました。身の回りの問題点を整理し、どんな解決の方策があるのか、その場合ほかの地域との関係はどうなるのか、財政や制度上の制約はどうなのか。住民の一人として地域の事情を肌で知り、一方で行政の専門家としての知識や経験が、大いに発揮されたのです。 ■1住民として、行政のプロとして
ここで重要なのは、自治会の相談相手として地域を分担させられた職員であると同時に、住民の一人として職員の知識や経験を活用していることです。職員の立場からすると住民に対する奉仕であり、住民の立場からすると地域活動への参加でもあったわけです。例えば、自治会館を建設する際には、大工さんがその技能・知識を役立てると同様に、職員という技能・知識を発揮するということが行われています。 ■コミュニティを原点にまちづくり現在は、一般行政職だけでなく教育委員会職員や保母さんらを含めて約260人が44の自治会に張り付き、3〜18人のチームとして住民と行政のパイプ役、コーディネータ役を務めていますが、発足当初は住民との信頼関係を深めることに大変な苦労をしたようです。役所で担当していないという理由で「逃げ」を打つことはできず、ときには町長と同様な「大所高所」に立った判断も求められる。このため、全職員が行政全般を的確に把握して、必要な情報を提供することが否が応でも必要だったそうです。 地域分担の取り組みは、結果的に「地域をより所として、地域からまちづくりを考える」という職員の意識改革につながり、協働型社会の基盤づくりにつながったと考えられます。
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