行政評価システム事例検証・徳島県鴨島町(1)

2001/04/09

 

25項目で事前・事後評価

 徳島県の鴨島(かもじま)町は、99年12月に町行財政審議会の答申を受けて事務事業評価システムの導入に取り組みました。2000年6月には、評価システムの導入だけでなくPFIなどを含めて行財政の効率化と透明性を高めるための「町行財政システム改革実施計画」を策定しました。事務事業評価は、2001年度予算の編成作業から活用するなど、当初のスケジュールに沿ってテンポ良く定着が図られているところです。 

 ■財政難に危機感、早めの対処

  町の行財政システムを改革しようという動きは、地方分権の流れの中で財政の厳しさが増し、危機感を募らせたことが背景にあります。財政を健全化しながら住民ニーズに応えるためには、無駄の排除、政策・事業の選択が避けられず、そのためには進行中や計画中の事業の有効性をきちんと計る「尺度」の必要性に迫られたからです。
  鴨島町は近年、徳島市のベッドタウンとして注目され、エレクトロニクス関連の企業進出などもあって財政基盤は同規模の町に比べるとやや安定しています。しかし、高齢化の進展による福祉・医療の充実や、下水道などの都市整備事業といった課題は山積み。地方債を頼りにした事業の拡大から公債費比率は15%台と高い水準で推移してきました。

 ■予算編成に合わせ点検・評価

  近隣の町村の財政事情と比較すると「まだまし」な内容ですが、町長や職員、議員、住民らの危機意識が、「一刻も早く手を打つ」道を選んだといえます。
  事務事業評価システムは、予算編成前に行う「事前評価」と決算確定時に行う「事後評価」の二本立てです。事前評価では、事業を立案した担当部署が、立案の根拠や成果目標など13項目について、また事後評価では、事業の成果や継続の必要性など12項目を点検・評価し、評価票に文章で記入します。評価票は総務課財政係に集約され、参事、総務課長、財政係を主体とした予算編成担当者会議で内容を精査し、報告を基に町長が事業採択の可否や、継続・休止・中止の方針を最終的に判断する仕組みになっています。

【鴨島町】 徳島市のベッドタウン

 四国・徳島市の西に位置し、吉野川の中流域に面した水稲農業が中心の町。人口約2万5600人で、65歳以上の高齢者が22.7%を占める。古くから交通の要衝で、徳島市のベッドタウンとして住宅や商業圏が広がり、製造業の立地も見られる。標準財政規模58億円、財政力指数は0.48(99年度、全国町村平均0.34)。

 

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