行政評価システム事例検証・東京都三鷹市(1)

2001/04/16

 

行政経営の仕組みと成果を「品質評価」

 行政経営品質評価は、民間企業の財務体質はじめ人材、設備、商品・サービスなど企業経営の総合力を診断する「経営品質評価」の手法を、市町村などの行政に当てはめたものです。「経営品質」の考え方は、経営を客観的に見直し、改善につなげようとする顧客主義・成果主義を基点とし、世界各国で活用されています。行政もまた、住民の満足度を向上させるために、効率的・効果的な行政のマネジメントが問われる時代になり、この手法が注目を浴びたわけです。

 ■企業診断の手法を活用

  既に岩手、三重、高知県や東京都三鷹市、岩手県滝沢村などが、行政経営品質評価の考え方を取り入れ、行政改革の推進に役立てています。一定の目的に沿って行政活動を評価し、その成果を改善につなげていく、という点で、行政経営品質評価も行政評価の一つといえます。当初は、財団法人社会経済生産性本部が優れた民間企業を表彰するために評価手法をシステム化した「日本経営品質賞」の考え方や基準をベースとしたケースが目立ちましたが、行政向けへの改良も加えられつつあります。
  市町村で最初に手がけた三鷹市の場合は、98年12月から同生産性本部と共同研究を重ね、99年6月に市独自の評価基準を作成しました。2000年5月には、総合的な行政運営のレベルと、改善の課題などをまとめた評価報告書がまとめられました。

 ■自己評価を第三者が審査

  評価項目は、大きく分けて・経営ビジョンとリーダーシップ・市民の要望・期待の理解と対応・経営戦略の策定と展開・人材開発と学習環境・業務プロセスの管理・情報の共有化と活用・取り組みの成果・市民満足・不満足〜の8項目。さらに22の評価項目と60の観点評価が設定されています。これらの質問にしたがって市が行った記述式の自己評価に基づき、生産性本部の専門評価員が市長や市職員からヒアリングした上で、評価結果をまとめる仕組みになっています。
  評価の際の着眼点として、「目的達成の仕組みが全体として機能しているか」「市民の満足や財務面などでの成果は適切か」「さまざまな活動や仕組みが市の理念や目標との関係で一貫しているか」「改善の課題や手法が明確か」「学習機能が有効に働いているか」などを重視しています。
  特に、自己評価においては、住民の期待、要望が何であり、それに応えるための施策は何であるかを明確に記述することが求められています。

 

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