続々・市町村合併を考える3-3過疎地の生き残り策(3)群馬県・万場町、中里村の場合(下) |
2002/03/25 |
医療福祉、国道整備…支援に期待万場町と中里村の合併構想は、行財政の効率化を目指すというよりは、村落共同体として維持していくための最低限のスケールを求めた動きと読み取れます。そこには、合併特例法の財政的なバックアップに対する期待もあります。 保健、福祉、医療が一体となった総合施設建設を目指す万場町では、補助金削減などの影響で2002年度の着工予定を先送りしました。完成が遅れるけれども、無理に借金するよりも、合併後の特例債を活用する道もあるとの計算からです。 また、合併重点支援地域の指定を受けることで、国道や河川などの基盤整備が優先的に実施されることにも期待を寄せています。重点支援地域の指定をめぐっては、群馬県が合併支援本部を設置していないことを理由に総務省が難色を示すという場面がありました。結果的には1月に本部設置と地域指定が同時に行われましたが、合併推進を強力に押し進めようという国の姿勢をうかがわせる出来事でした。 ■共同体の存立基盤を守る急激に過疎が進行する集落が、どんなことに危機感を募らせているのか。集落移転・再編を実施した地域に関する総務省過疎対策室の調査によると、移転組では「保健医療などの行政サービスの確保」が、再編組では「高齢化と人口流出による自然消滅の危機感から」「地域コミュニティの連帯強化のため」が大きな要因となっています。 これは全国に約4万8千ある過疎集落に関するデータですが、「過疎+過疎」合併の動きもまた、共同体の存立基盤を伝統的な文化や景観などとともに何とか守りたいという住民の思いに根差しているといえそうです。そんな思いを背に、宮前鍬十郎・万場町長は「財政基盤の安定を図り、自治の灯をともして行くため合併を推進する」と固い決意を示しています。
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