212の21世紀〜マチは変われるか

第2部・評価編

 3.ライフライン
 道路、水道整備に地域間格差


 地方自治体が「勝ち組」「負け組」に分化していくとは、行政の行う住民サービスに質的な格差が広がっていくということにほかなりません。地方財政の危機は、こうした格差を広げる大きな要因になっているため、それぞれの町や村がこれから進める政策、施策の中味が問われているわけです。

 しかし、現実には財政事情とともに既に自治体間の格差は、どんどん広がる傾向を見せているのです。自治体はどうしても「横並び」を意識するため、その裏っ返しの心理として比較されることを嫌いがちです。従って一般にこうしたデータはあまり表に出てこないのですが、公にされているいくつかのデータから「サービス格差」の実態をのぞいてみましょう。

 住民の側からは、何といっても「住みやすさ」が大きな関心事です。これを端的に示すデータは見当たりませんが、道路や上下水道、電気、ガスといった「ライフライン」と呼ばれる公共施設がどの程度整備されているかは、「住みやすさ」を測る一つの目安にはなるでしょう。

 ■道路舗装率、全国に遅れ

 たとえば、国や都道府県道が整備、管理する道路に比べて、市町村が整備する道路は、文字通り「生活道路」として、住民の生活に密着しています。しかも、これらの基盤整備事業は多額な費用を要すると同時に、住民のニーズに対応した公正な推進が求められているだけに、地方行政の中でも大きな課題とされています。

 北海道の場合は、開発の歴史が道外の市町村に比べて浅いことや、面積が広大なこともあって、整備がやや立ち遅れている面は否定できません。また、地域間の格差もあって、こうした格差是正も行政の課題となっています。

        

 道内の市町村道の整備がどの程度進んでいるかは、それぞれの「道路改良率」と「舗装率」からおよその状況がわかります。九八年四月一日現在のデータでは、道内の改良率が五九・六%で全国平均(五〇・一%)を上回っていますが、舗装率は全国平均(七一・六%)を大きく下回る四八・三%にとどまっています。

 ■下水道50%未満42町村

 表の舗装率ランキングを見てもわかるように、自治体間の格差は一〇%台から九〇%台まで極端な開きがあります。改良率も同様の傾向を見せていますが、特に舗装率は、五〇%未満が百三十七市町村と半数を超えているのに対し、離島や半島部の町村の遅れが目に付きます。

 上水道は道内市町村の平均普及率が九六%とほぼ全国平均に肩を並べていますが、九〇%未満のまちも七十二市町村あります。下水道の普及率は、七七・九%と全国平均(五六%)を大きく上回っているものの、普及率が五〇%に満たないまちが四十二市町村もあり、ここでも都市部と町村間の格差が目立っています。