212の21世紀〜マチは変われるか
第2部・評価編 10.タックスペイヤー 問題は「あれ」を選ぶか「これ」を選ぶかの選択基準です。時にはほかの事業を優先し、住民に我慢を強いる以上、十分な理解を売るための説明が必要で、その「ものさし」として行政評価がクローズアップされてきたといって良いでしょう。 いち早く導入に踏み切った三重県の議会では、評価に基づく政策、事業の選択をめぐる論議が活発になってきているそうです。選挙地盤の住民要求に片寄りがちだった議員は、県政全体に目を向けるようになり、各会派も一方的な要求をするのではなく、「どちらが今必要な施策か」 「優先事業は何か」といった政策論議を重視する傾向を見せています。
きっかけは好ましいものではありませんが、一連の不祥事は「いったい自分たちが納めた税金はどう使われているのだろうか」という税と行政サービスの質に対する関心を高める結果をもたらしたともいえます。 この一方で、自治体側は行政のアカウンタビリティ(説明責任)、情報公開の重要性を再認識させられたことも、大きな要因となています。現に、先行組の一つ岩手県も食糧費の不正支出などに対する県民の不信感が行政評価導入のきっかけとなりました。「考え方、発想を変えることで、県の姿勢が変わったことを県民に認知してもらうほか、県民の信頼を回復する道はない」との知事の強い意向で導入に踏み切ったのです。 第四の理由としては、国の政策による地方分権の流れが挙げられるでしょう。住民を主役として、行政への住民の参画に道を開く行政評価は、住民自治の理念に合致するものです。そうした意味では、日本の地方自治は戦後五十五年を経てようやく本来目指した姿に近付こうとしているのだといえます。 |
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