212の21世紀〜マチは変われるか

第2部・評価編

 11.アリバイづくり?
 プロセス段階から住民参画を


 住民の満足度を視点とした成果主義に基づく行政評価は、ようやく日本国内でも試行錯誤的に導入されるようになってきました。しかし、依然として模索の段階にあり、未成熟な状況にあります。道内の市町村の間でも行政評価に目を向け始めた折りでもあり、現在の取り組みの問題点と課題を考えてみます。

 ■未成熟なアウトカム思考

 第一の問題点は、成果主義という基本的な考え方が不徹底で、導入目的があいまいなことが挙げられます。これは厳しい財政をどうやりくりするかという問題がきっかけになったことも要因ですが、行政評価が結果的に予算削減やコストカット、人員削減・リストラの理由付けにされる傾向にあることです。積極的な「選択」ではなく消極的な「切り捨て」に問題がありそうです。

 また、財政健全化など行政改革のアリバイづくり的な、形ばかりの行政評価と思えるようなケースもあるのは残念なことです。

 第二の問題点は、欧米の先進的な自治体が住民満足度を指標としているのに対して、住民ニーズの把握、取り込みが不十分な面が否定できないことです。結果的にお役所という組織内部の取り組みにとどまり、政策、施策に至らない個別の事務事業に偏向した形になってしまっていることに表れています。

 これは、「アウトカムの発想」が未成熟なことに起因していると思います。老人福祉を例に取れば、どうしても予算をいくら使い、施設をいくつ作り、隣りのまちより多い少ない、といったことに目が行き、「その結果どうなったか、住民は、お年寄りは満足しているのか」といった次元にまで踏み込めないことです。

 ■31%が評価結果公表せず

 第三の問題は、情報の公開が徹底されておらず、結果的に住民参加のシステムづくりにまで至っていないことが挙げられます。自治省の調査でも、評価結果をすべて公表することにしている自治体は、都道府県で五〇%、指定都市で六七%、市区町村ではわずか一七%にとどまっています。比較的積極姿勢の都道府県でも、まったく公表しない自治体が三一%もあるのです。

 行政評価の成否は住民参画を得られるかどうかが重要な要素ですから、本来は制度の検討、導入段階から住民を巻き込んだ取り組みが必要なはずです。

 総じて情報公開に消極的な自治体が多い中で、東京都は住民満足度を重視する観点からベンチマークの選定に当たって、二百五十人の都政モニターのアンケート調査を行い、九十九個の指標に絞り込みました。プロセス段階から住民参画を積極的に仕掛ける試みは注目される取り組みです。

 道内では札幌市がいち早く行政評価の導入を進め、「市民と行政のパートナーシップ」を前面に打ち出しています。プロセス段階では都市経営フォーラムの意見を聴取し、実施段階でも評価結果を外部委員会に報告し、意見を求めるシステムを考えています。

 しかし、評価そのものは庁内の内部評価にとどまっており、事後的に「外部」の意見をうかがうレベルにとどまっています。内部評価をきちんと行うのは当然ですが、第三者的な立場からの評価と比較対照させながら評価の客観性を高める工夫も求めたいところです。