212の21世紀〜マチは変われるか
第2部・評価編 11.アリバイづくり? また、財政健全化など行政改革のアリバイづくり的な、形ばかりの行政評価と思えるようなケースもあるのは残念なことです。 第二の問題点は、欧米の先進的な自治体が住民満足度を指標としているのに対して、住民ニーズの把握、取り込みが不十分な面が否定できないことです。結果的にお役所という組織内部の取り組みにとどまり、政策、施策に至らない個別の事務事業に偏向した形になってしまっていることに表れています。 これは、「アウトカムの発想」が未成熟なことに起因していると思います。老人福祉を例に取れば、どうしても予算をいくら使い、施設をいくつ作り、隣りのまちより多い少ない、といったことに目が行き、「その結果どうなったか、住民は、お年寄りは満足しているのか」といった次元にまで踏み込めないことです。 行政評価の成否は住民参画を得られるかどうかが重要な要素ですから、本来は制度の検討、導入段階から住民を巻き込んだ取り組みが必要なはずです。 総じて情報公開に消極的な自治体が多い中で、東京都は住民満足度を重視する観点からベンチマークの選定に当たって、二百五十人の都政モニターのアンケート調査を行い、九十九個の指標に絞り込みました。プロセス段階から住民参画を積極的に仕掛ける試みは注目される取り組みです。 道内では札幌市がいち早く行政評価の導入を進め、「市民と行政のパートナーシップ」を前面に打ち出しています。プロセス段階では都市経営フォーラムの意見を聴取し、実施段階でも評価結果を外部委員会に報告し、意見を求めるシステムを考えています。 しかし、評価そのものは庁内の内部評価にとどまっており、事後的に「外部」の意見をうかがうレベルにとどまっています。内部評価をきちんと行うのは当然ですが、第三者的な立場からの評価と比較対照させながら評価の客観性を高める工夫も求めたいところです。 |
|||||