212の21世紀〜マチは変われるか
第1部・財政編 2.自治体破産〜「へそくり」 表は、道内二百十二のそれぞれの自治体が九八年三月末時点で蓄えている「積立金残高」を住民一人当たりの額に換算した上でランキングしたものです。全道平均では一人が十万円ちょっとの貯金をしている計算で、借金の五十九万円を埋め合わせるにはほど遠い状況ではありますが、ここでもやはりまちによるばらつきが目に付きます。 【住民1人当たりの積立金残高ランキング】
最も蓄えがあるのは後志管内泊村の三百四十二万円で網走管内西興部村とともに抜きん出ています。意外にも、と言ったら失礼になるかも知れませんが、上位には市町よりも村が目立っています。西興部村の場合は、借金でも貯金でもランキングの第二位で、その「帳尻」はプラスに収まっています。 難しいお役所言葉が並んでいますが、どれも「調整基金」とついているように、いわば将来台所具合が怪しくなるような事態に備えての蓄えで、家庭で出産や進学に備えて積み立てておく貯金と基本的には同じものと考えて良いでしょう。 このうち最も多くを占めるのが特定目的調整基金で、施設建設などに備えて特定の目的額を確保するためのものです。減債調整基金は、最初に紹介した地方債という借金をスムーズに返済していくための備えです。一番少ない財政調整基金は、経済状況の悪化などで財源確保が難しくなるような事態に備えた、いわば「へそくり」といえるものです。 貯金はもちろん多いに越したことはありませんが、道内二百十二市町村の総体で見ると、九四年以降どんどん減少しています。貯金の取り崩しが積み立てを上回っているためで、特に減債調整基金の取り崩しが目立っています。 現に、自治体の財政状況を基に返済能力を格付けする動きが強まっており、地方債の資金を供給する金融機関が借り手を選別する時代も近付いているのです。借金さえできない自治体では、公共施設の整備が滞ったり、住民税や手数料、使用料の引き上げという現象が生じ、自治体間の貧富の差がそのまま住民サービスの差となって現れることにもなるわけです。 |
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