212の21世紀〜マチは変われるか
第1部・財政編 7.自治体破産〜「やり手町長」 自治体の財政は、主に次の三つの財源によって支えられています。 地方交付税は、国税として収められた所得税、法人税、酒税のうちの三二%、消費税の二四%、たばこ税の二五%に当たり、自治体の人口や面積などに応じて国から配分されます。使い道も市町村などの自由に任されていますから、実質的には自主財源に近いものといって良いでしょう。 国庫支出金は、補助事業のところで少し説明したように、国庫補助金のように使い道があらかじめ国によって決められた財源です。いわば「ひも付き」のカネで、配分の基準がはっきりしていないため中央省庁の担当官の「さじ加減」次第の側面も否定できません。 特に補助金は、陳情行政の要因の一つであり、省庁や国会議員との間にどれだけ太いパイプを持っているかで町長さんらの力量が問われ、ほかのまちに先駆けて補助金を引っぱり出した町長さんは「やり手」と呼ばれるわけです。しかし、本来の地方自治・住民自治の考えからは、疑問の多い制度でもあります。 地域の特性に合わせて、住民の声を聞きながらまちづくりを進めるという意味では、もちろん自主財源が多いに越したことはありません。しかし、現実には歳入全体に占める地方税収入の割合(「地方税収比率」といいます)は、都道府県で三一・九%、市町村で三六・五%に過ぎません。「三割自治」というのはここから来ている言葉です。 【地方税収比率ランキング】
下位にランキングされたまちは、ほとんどが過疎地であり、地元に大きな工場などもありません。逆に上位に並ぶのは札幌をはじめとした中核的な都市です。最上位の後志管内泊村は地方税収が五一%という抜きん出た存在ですが、原子力発電所の立地に伴う固定資産税の収入などが最大の要因といえます。 人口の増加による税収アップがとても見込めないまちが企業誘致に熱心なのは、固定資産税の収入増に期待をするからなのです。核施設や産業廃棄物関連施設の立地で揺れる自治体に、自主財源の乏しい過疎地が多い背景には、まちの生き残りをかけたやむにやまれぬ事情もあるようです。 |
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