8.破産〜過疎化・少子化
財政力全国の半分、沈下進む
自治体の財政力を示す数値に「財政力指数」というのがあります。一定の水準の行政活動を行うために必要な税収入がどの程度確保されているかを示す数値で、三年間を単位として算出します。たとえば、あるまちが三年間に必要な資金が百億円として、その分を全て税収でまかなうことができれば、財政力指数は一ということになります。半分しか税収がなければ〇・五といった具合です。
道内市町村の平均値は〇・二四で、全国平均の〇・四二のようやく半分に達している程度です。
■原発立地の泊村は別格
表の財政力指数ランキングにあるように、指数が〇・一にも満たない自治体は十町村もあり、半数以上に当たる百十九市町村が〇・二に達していません。〇・五以上の水準にあるのは、泊村の一・八八を別格にして苫小牧市、千歳、室蘭、札幌、石狩、北広島、恵庭市などわずか十六市町村に過ぎません。
全国ランキングでは、玄海町、飛島村、浜岡町がベストスリーで、泊村は第四位、さらに伊方町、大飯町と上位を原発立地町村が占めます。ほかには別荘地として知られる軽井沢町や自動車メーカーの城下町・豊田市などが上位二十位内に入っているのが目に付きます。
まちの財政力の基盤は、その地域の住民、企業の活力を反映しますから、人口の増加率や、十五歳から六十五歳未満の「生産人口」がどの程度あるか、農漁村ならその生産力、さらに工場の生産力・製品の出荷額などが、その目安となります。これらのデータから過疎地を中心に地域財政が深刻な状況に、地域格差が大きいこともわかります。
■人口維持前提の矛盾
人口減少率の上位二十市町村を表にしましたが、九〇年と九五年の国勢調査の結果を対比したものです。わずか五年間で人口が一〇%以上も減少したまちが十七もあります。増えたまちは三十二しかありません。
これまで多くのまちは、地域の人口を維持することに懸命になってきました。中長期の地域振興計画の大半が、人口の維持か増加を前提としており、ある意味では人口減を前提にした計画、財政運営は成り立たないと考えられていたのです。
しかし、現実には、過疎化に加えて少子高齢化が急速に進んでいます。北海道東海大の原俊彦教授が昨年の人口学会で「北海道の人口は百年後に三分の一になる」と発表して注目を浴びましたが、今、地域計画は大きな発想の転換が求められているのです。