第1話 特攻作戦
高木 繁光さん (北海道議会議員・昭和4年生)
 戦艦「大和」が沖縄戦で撃沈された昭和二十(一九四五)年四月九日。大本営に、航空総軍の幕僚が召集された。本土決戦に備えた「決号作戦」計画の最終方針が決まろうとしていた。
 
 「敵ノ本土上陸企図ニ対
 
第2話 札幌空襲
倉島 斉さん (作家・昭和7年生)
突如として、耳をどよもしてサイレンが響き渡った。
聞きなれた、間のびした警戒警報の連続サイレンではない。
猛獣が咆哮を繰り返すような、威嚇的なたけだけしい断続サイレンだ。 
衛兵所内に叫びが上
 
第3話 玉音放送
岩本 政光さん (元参議院議員・昭和4年生)
  北部軍管区司令部発表
本十四日早朝来七時間に亘り、敵B29及び機動部隊より発進せる艦上機は、軍事施設、港湾の交通機関及び函館、室蘭、帯広、釧路市街に対し、爆弾、焼夷弾、機銃をもって波状攻撃を加
 
第4話 進駐軍
朝倉 賢さん (作家・昭和7年生)
 中学二年生だった私は、豊平から家へ帰る途中、豊平橋の手前で警官に制止された。「アメリカ軍が来る。かくれろ」。私はあわてて石造り倉庫の陰に逃げ込んだ。サーベルを下げた警官は私よりもっとおびえている
 
第5話 引揚列車
小林 博明さん (日本興業会長・昭和2年生)
 札幌駅には、まだ四番ホームまでしかなかった。二番、三番線に列車が滑り込む。ホームに降り立つ者の顔は、大人も子供もやせこけ、目だけがぎょろぎょろと異様に輝いている。
 
 「引き揚げ列車からは、毎日
 
第6話 闇市
岡部 卓司さん (千秋庵会長・大正13年生)
「この砂糖は、いったい何時、どこで、いくらで買ったんだ」
机を挟んで副検事の正面には、詰め襟の制服を着た北大生。
「でも、検事さん、あなたもヤミ米食べているんでしょう」
ヤミ買いを拒み、配給食だけに
 
第7話 民主化
相神 達夫さん (ジャーナリスト・昭和6年生)
 「青年は常に真実を求める。あらゆる知性への憧憬と真実の探求は、我々のために与えられた。虚偽と欺瞞との過去は暗い。(略)混沌たる思潮の中にあって旧殻を脱っせんとして喘いでいる北海の学園に清新な気を
 
第8話 復興へ
三神 純一さん (北海道中小企業同友会代表理事・昭和7年生)
 札幌市北一条西三丁目。時計台近くに一軒の和菓子屋があった。暖簾は「エミヤ」。大正十五(一九二六)年創業の小さな店だが、当時としてはハイカラな片仮名の屋号と味が評判で、繁盛していた。
 
 「エミ」
 
第9話 自由と正義
浜口 武人さん (弁護士・昭和6年生)
 昭和二十(一九四五)年八月。真岡中二年生だった浜口武人は、敗戦の混乱の中、樺太(サハリン)から札幌に引き揚げてきた。転校先に指定された北海中学に行くと、陸軍兵舎に使われていた校舎の窓ガラスは割れ、
 
援農、空襲、敗戦・・・・
軍事教練の時代から民主教育の時代へ。
札幌の旧制中学の学徒たちが昭和20年を境にどんな体験をしたのか。そして、その後の人生は.....
註:この記事は「北海学園120年の120人」(百折不撓物語)から抜粋・再編集したものです(資料写真は北海学園提供)http://com212.com/212/data/profile/profile3.htmlshapeimage_10_link_0
北中生が見た昭和20年